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アンディ・ティモンズ ベンド&ヴィブラート・レッスン

アンディがギタリスト向けの配信番組に出演して、「ベンド&ヴィブラート」をお題に語りました。楽しい音楽会話の後半は割愛して、前半のレッスン部分を以下にまとめてみました。

ギタリストに参考になりそうな深いお話も。

 

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君のベンドは、メロディック面で伝統と新規性を兼ね備えている。

そうだね、僕は同時に音楽を奏でようとしているから。(笑)

ちなみにアンディの新作ディレイ・ペダル、Halo の試奏動画もあるからチェックしてくれ。僕はディレイ・ジャンキーなんだけど、あのペダルは信じられない程に最高だ。

(この後でペダル Halo の説明と実演。Halo (光の環)の名前はサウンドがオーロラのようだから、とのことで天使の光輪のようだとインタビュアーも相槌)

さて、ベンドについてだけど、難しいよね。

僕は若い頃、インディアナでどんなに上手いギタープレイヤーがこの世にいるのかも知らない「井の中の蛙大海を知らず」状態だったんだけど、そこから外界に出た最初はマイアミ大学だったんだ。クラスには優れたプレイヤーがたくさんいた。そこで「どうベンドしているか」が話題になったんだ。

当時の僕の最大の影響はスティーブ・ルカサーで、もちろんカールトンにヘンドリックス、スティーヴィー・レイ・ヴォーンも。偉大な彼らは皆、ソウルフルなベンドをしていた。それを聴いていた僕の耳がそういうプレイに向かったのだろうね。

ギター・ゴッドと言われる人は皆、技術レベルに関わらず、ずば抜けたベンドとヴィブラートのシグネチャー・サウンドがあるよね。クラプトンもギルモアもエディもヘンドリックスも。だから、初級から中級クラスのギタリストには音程を保ってのベンドとヴィブラートの練習に時間を掛けるよう勧めている。それがギターに感情を込めることに繋がるからだ。

僕もそこにはギター表現における最も深い可能性があると思う。フレット上に構えた指について多くが指摘されるけれど、指を弦に降ろしたときにどんな音がするか。(実演 9:30)もし、ヴィブラートが大きすぎたら、音程を外してしまうだろう。ほら、酔っぱらった猫の喧嘩みたいだ。(笑)

細部に多くが宿るんだ。長年やってきて僕がベンドやヴィブラートを人に助言するとしたら、まずはヴィブラートなしに音を弾くこと。5フレット上のCを出す。そう、3弦を弾くと、手がつい何かをしたくなるだろう?(実演 10:13)でも、ただその音を感じて、しっかり音程を聴く。それからヴィブラートを足すんだ。

君は異なるタイプのヴィブラートを使うんだね。

頑張って説明してみるよ。僕らは皆、ヴィブラートとベンドの練習が必要だからね。レベルに関係なく、音程を正確にして、自分の音の味わいを磨く余地がある。

ほら、ここで僕はネックを動かしている。(実演 10:53)いいヴィブラートが得られるんだ。これは古風なベンドじゃない。こうして3弦のベンドでは僕は人差し指を下へ降ろしてベンドしている。上に弦を上げるのではなくて。そして僕の指は弦を引っ張りつつ少し波動運動をしている。

僕のネックの握り方は、ネックを包んで握るタイプで、(親指でネック裏を支える)後ろ側持ちのタイプじゃない。ベンドしてみると、上にまわした親指が支点になっていて、ネック下側を(人差し指第2関節で)挟んでいる。(実演 11:33)

親指はネック上から離れるときもある。僕がベンドに使うのはたいてい人差し指と薬指だ、これらの指の力が強いからね。でも時には中指のこともある。ベンドやヴィブラートの前に中心となる音の音程をしっかり聴いて、そこから特定の音程差を維持するようにプレイしている。

多くの人は弦を押さえる指に力を入れ過ぎだよね。

ああ、人それぞれのギター・セッティングがあるから、自分のベンド/ヴィブラートを探す必要がある。

さっきやってくれたように、ベンドだけでなく、同じ効果を得るテクニックもある。フレット内部での動きもあるよね。

(実演 13:33)こんな感じかな。自然にプレイしていたから気付かないよ。講師失格かな。(笑)僕はただ50年弾いているだけなんだ。

確かに、指に力を入れ過ぎになりがちだね。でも弾きながら、トーンを紡ぎ出す必要があるし、音程にも気を配らなくてはいけない。

スライドが早いね!そして正しい音に着地している。誰の影響?

スライドはルカサーの影響だよ。"Hold the Line" が出た70年代終わり頃かな、あの頃の最大の影響さ。僕はロック・プレイはかなり上手くできるようになっていたけれど、もっとプレイには奥深いものがあるとあれを聴いていて思ったんだ。

クロマチック(半音)音階が進行していて、それが僕をカールトンや(ロベン)フォードに導いたんだ。ルカサーが入口だったんだよ。やがてパット・メセニーまで行きついた。(スライドには)ジャズの要素があるんだ。(実演 15:15)

マイアミ大学ではギターの理論に基づいてスケールやモードを学んでいたけれど、深く分析して理解してはいなかった。今では全ての音が指板上に見えているからプレイの上で役に立つ。僕は後にギターを教えるようになってから、スケールを1つの弦の上で弾くことを勧めている。それをすることで、どのポジションからでも弾けるようになる。(実演 16:35)

どんな上手い人もベンド/ヴィブラートの練習には時間をかけているよね。

僕はもっと練習すればよかったと思うけど、まあ沢山プレイしてきたから。例えば、こうGからAに(1音)ベンドして、ヴィブラートは無しにする。それからヴィブラート有りにする。狙いの音程の中心をしっかりベンドで捉え、それからヴィブラートを加える。(実演 17:50)

優れたヴィブラートといえば、エース・フレイリーだ。70年代のプレイヤーには素晴らしいヴィブラートを持った名手が多い。

(実演 20:15)僕のプレイでは「質問と回答」的なものを考えているんだ。基本的には主張を持つこと、そして次はそれに反応するんだ。コール&レスポンスだよ。こうしてメロディが引立つんだ、これがダイナミクス(強弱)の効用だ。会話の様にして、深いレベルへと導く。このリックを弾いたら次はどうなるのか。

ボーカル・ラインを学ぶことをギタリストに勧める?

もちろん!マライヤ・キャリーやホイットニー・ヒューストンの驚異的な音程を学んだこともある、もっと時間をとって学べば良かったよ。あのフレージングさ、ギタリストは(シンガーと違って)息継ぎをする必要がない。プレイしながらシンガロングするのもいい。僕はジャズをプレイしながら自分で歌ったりもする。よりメロディックになるんだ。

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後半のトーク部分で、イングヴェイがブルースを弾いたことについて、アンディが「彼は最もテクニカルなギタリストの1人だけど、ブルースを弾いたら、とても深いんだ。もっと弾いてくれたらと思う」と力説していました。9年程前にテキサスでイングヴェイのショウがあったそうで、アンディは観に行ったそう。そして「これまで観た中で最高のものの1つ」だったと言っています。意外で興味深かったです。