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ジョー・サトリアーニ 「私は挑戦も失敗も怖れない」

ニューアルバム『Shape SHifting』をリリースした、ジョー・サトリアーニが多くのメディアのインタビューに応えています。その中から興味深かったものをピックアップして一部和訳してみました。(原文は下のリンクとこちら

guitar.com

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あなたのプレイするソロは『Surfing With The Alien』の頃まで振り返ってみると、作曲されたと感じるものがしばしばあります。

実際のところ、『Surfing With The Alien』で本当に作曲して臨んだソロは "Crushing Day" だけなんだ。だからあれはやたら長くてくどいんだ。何か計画して弾いた方がいいと思ったんだけど、後悔しているよ。事前に準備されたものを繰り返すのに喜びを感じないから。

私は何度でも自然な何かを捕らえようとすることに喜びを感じるんだ。"Flying In A Blue Dream" は自然なひらめきに満ちている。問題は沢山あるものの、あの曲には魅力があるんだ。あの曲をプレイするときは毎回、その問題に取り組むのを楽しんでいるよ。今の私にはそれが解決できると思うから。でもあの曲の魅力はそのままだ。

あなたの長いキャリアの中でプレイはどのように変化しましたか?進化する自分をどう感じますか?

私は前進するのが好きなタチで、何かを弾いた後であまり分析はしないんだ。常に前を向いて、新たに飛び込む精神的経験を探し続けたい。その一方で私はかつてよりも技術的なコントロール力が増している。私は7月には64歳になるけれど、確かにそう感じるんだ。21歳の頃の指の感覚と比べて、今の指の感覚はかなり違っている。それが歳をとるということさ。

もう暫く幸運にもこうして自分のしていることを続けられるなら、学ぶ教訓は沢山ある。自分の初期の頃のアルバムを聴き返すと、この経験未熟な若者はそれでいてとても熱狂的だ。でも曲はもう少し短く、又は長ければ、又は違うアンプやギターを使っていたら、もっとずっと良いものになっていただろう。

若いジョー又は若いミュージシャンへのアドバイスはありますか?

若い生徒は直ぐに実践してそして認められるような直接的な情報が欲しいと思うものだ。「どうしたら速くプレイできる?印象強くするにはどうすればいいい?」と。やがて君は18歳のときにプレイしすぎて、45歳には指を負傷するだろう。1日に45分だけ弾いて身体を傷つけない方がずっと速くプレイできたかも知れない。でもそれは世界に名を馳せてやろうと思っている十代の子供には全く受け入れられないんだ。

あなたのキャリアを振り返って、もっとも誇りに思う達成事項は何でしょう?

可笑しなことに、同じ質問に憑りつかれているんだ。以前招待されたパネルディスカッション(訳者注:Guitars in the Round at Musicians Institute Los Angeles, Ca. 9/21/00 のこと)にはトム・モレロ、スティーブ・ヴァイ、スティーブ・ルカサー、トレバー・ラビン他が出席していたのだが、そこで同じ質問を受けた。皆がステージに座って、オーディエンスが質問をする形式で、その質問の1つが「最も誇りに思うことは?」だったんだ。直ぐに「この質問は嫌だな」と思ったよ。

そしてステージの向こう側から順に回答が始まって、皆は「子供」「自分でデザインしたギター」「賞を受賞した曲」などと答えていた。それで私の番になったとき、後悔することを言ってしまったんだ。「ここの皆の言うことに全く同意するよ。彼らが今言ったことはどれも誇りに思うことだ。ただ私が言いたいのは、ミュージシャンが自分を誇りに思うことはとても危険なんだ。(芸術探求の)推進力を台無しにしてしまうからだ」

その何を後悔しているのですか?

真実を語っただけなのだと思う。でもそれは常に良い考えではないんだ。会場の雰囲気に気が付いて理解したよ。「2人のスティーブにドつかれる!」ヴァイとルカサーだ。楽屋に戻ったら、2人に「何であんなこと言うんだ!?」ってボコられたよ。

あなたは自分の作品の創造に熱中するほどには、自分のレガシーには関心が無いようですね。

そう思うよ。だって死んだらそれでおしまいなんだ。この世に命あるうちに経験や芸術や愛を創造することが大切なのさ。褒美なんて無い、最後にメダルなんてもらえないんだ。実際、最後には死ぬ、それだけだ。クリニックに参加している人たちに言いたいね、「皆目を覚ませ、この時だ!明日は無い、今この瞬間が大切なんだ!」

私が自分のスタジオでギターを手に取ると、自分に言い聞かせるんだ。今だ―今こそ何か良い音楽を弾いて、今ジョーが経験していることを書き留め、人々とシェアするんだ。皆が気に入るかどうかは関係ない。皆が批評に忙しい間に、私は新たな1曲を書き始める。対処法としては可笑しいよね。

サミー・ヘイガーにはいつも私が彼のようにリッチで有名じゃない理由は私にエゴがないからだと言われる。それで私は時々こう言うんだ「ああ確かに!」ときどきサミー・ヘイガーの財布で飲んでおくべきだな!

ニューアルバムのコンセプトについて教えてください。

全曲で音楽的なスタイルを変化させるというアイデアには興奮した。長年の経験から、テーマや音楽、メロディや何にせよ、100%の情熱を注ぐことができれば、人がどう思うかは心配しなくていいと学んでいるんだ。それはリリースしてから心配すればいいのさ。

私が変化を怖れないのは情熱を持って前進するためだ。私は挑戦も失敗も怖れない。もちろん、成功できたらいいけれど、最初からいつも成功できる訳じゃない。私は同じことを繰り返したり、誰かの曲を繰り返しプレイして満足するタイプじゃないんだ。魅力を感じないんだよ。

人の曲を繰り返しただプレイするツアーに出たり、人のリックをきっちり再現する仕事では数ヶ月ももたないだろうと思う。そういうギグは沢山あるし、それをやっているプレイヤーもいる。神に感謝だよ、彼らのおかげで歴史が伝えられるんだ。でも一方で違うタイプのミュージシャンもいるんだ。そのうちの何人かは私の親しい友人で、彼らは常に前進し、新たな音楽を演奏せずにはいられないのだよ。それが私たちの本質だから。

コロナウィルスによる混乱のような最悪の状況を以前にも経験しているのですか?

『Surfing With the Alien』は1987年10月15日にリリースだった。数日後に(10月19日)株式市場が1929年以来の暴落となったんだ。(ブラックマンデー)「(こんなことになったから)アパートに戻ってアルバムのことは忘れるべきかな」と思ったんだ。でも1月になって突然、アルバムがチャートを上昇し始めたんだ。

どうして乗り越えたのかわからないけれど、両親の世代は様々な状況を乗り越えてきた。今の状況も人生の一部なんだ。もちろんこれは本当に恐ろしいことだし、苦しんでいる人々がいることは最悪の事態だ。経済的にはまた新たな大混乱が繰り返されたのさ。でも打ちひしがれ、後退していては打開できない。今こそ一歩踏み出すときだ。手を洗い、家にとどまること。でも撤退してはダメだ。人々はまだ音楽を必要としているのだから。

ありがたいことに、インターネットのおかげで人との接触なしにアルバムをリリースできるんだ。皆の気持ちを前向きにできるのなら笑顔でいようと思う。このアルバムは気分を明るくするものだから、このタイミングは最適だったと思う。

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