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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

キップ・ウィンガー Part 2 「この曲でバンドの芸術的ステイトメントを発信できた」

先週に引き続きキップ・ウィンガーのインタビューです。

Chris DeMakes A Podcast: Ep. 76: Kip Winger discusses Winger's "Headed For A Heartbreak" on Apple Podcasts

Winger の代表曲 "Headed For A Heartbreak" のキップによる解説が進められます。今週はこのインタビュー概要の和訳 Part 2です。Winger 待望のニューアルバムの制作進捗状況も答えています。

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当時のバンドがイメージ先行だったのと比較すれば、あなた方は誰もやっていないことをしていたし、才能もあり、他とは違っていました。

ありがとう。この曲の良いところは、セカンドコーラスの後に半音変化したところさ。ヴァース2で解決して戻る。ただこうして座って弾いているときに思い付いたんだ。当時はこれがコーラスになるとも思わなかった。パワフルなクリシェぽいのを入れようかと考えていた。

そこが私の次の質問です。51秒のところで、クールなオクターブ・ギターが入ります。それがコーラスに導入するのですが、レブのこれは実に味わい深いパートです。そして最初のハーモニーが入ります。"Headed For A Heartbreak" を繰り返したところで、メインのキーボードが入ります。イントロのリフがコーラスで繰り返されるのはクールですね。

ああ、そこがフックなんだ。さっき言ったように、レブがキーボードと一緒に弾いたときに曲が動き出すんだ。コーラス部には2つのフックがあるんだよ、1つは音楽的フック、2つ目はボーカル・フックだ。

デモとはどの点で変わりましたか?ボー・ヒルはどのように関わったのでしょう?

デモを聴けばわかるよ、何も変えていない。レコーディングでは全て俺のデモのとおりに再現したんだ。ボーがやったことは、"Madalaine" のスピードを上げたこと。これは素晴らしいアドバイスだった。

ボーは非常に才能があって、俺は16歳の頃から彼の下で働いてたんだ。デンバーで会って、彼のバンドのデモを共に大量にレコーディングした。彼には驚異の才があって、キーボードも上手いし、作曲の素晴らしいアイデアが豊富だ。エンジニアの腕も立つ。

彼の言葉「自分の作品を人の手に委ねるな」は俺がエンジニアの仕事を覚えるのに励みになったんだ。ただ、ファーストアルバムについて言えば、あれは全て俺の仕事だ。

2つ目のヴァースに進みます。

Darling, don't wait up for me
Tonight I won't be home
You've become a stranger
I just got be alone

思うに、ここの歌詞が(リスナーに)曲の中で最も共感できるのじゃないかな。燃え上がった恋愛関係が冷えて、孤独を感じるようになるんだ。

Don't you think I can feel the pain?

ここでは、冷血漢にみえるけれど、自分自身も内側で傷つき痛みを感じている、だがそれは見せない。ってことを書いたんだ。

2つ目のヴァースは1つ目と同じように進みますが、私が2つ目のコーラスで好きなのはここから変化を見せるところです。"Headed For A Heartbreak" を3回繰り返しますが、最後の1回はブレークして、メロディが変化し、ブリッジに繋がります。

ああ、俺は作曲の教師エドガード・グラーナについて学んでいたんだが、「3回目に何かしろ、4回目では飽きられる」と教えられた。彼はバッハのことを言っていたのだが、要は4回目まで引っ張ると聴き手が「わかったよ」となってしまう、それまでに何かすべきなんだ。

動き続けることさ。ここで俺はメロディは変えずに半音下がった、それは聴き手にショックを与える。半音動くと解決するようだが、実際は半音下がったのさ。これが音楽のミラクルさ。ほんの少し変化を付けるだけで、音楽のエネルギー・フィールを変えることができる。

このブリッジは素晴らしいです。短いのですが、私には完璧な長さに思えます。

ああ、ここの歌詞にも多くの人が共感できると思うよ。

レコーディング時にはレーベルのスーツ族はチェックしに来ていたのですか?

いや。俺たちはレコーディングして、仕上がったものを彼らに提示した。ボーはアトランティックとユニークな関係を築いていてね、俺たちには担当のA&Rがいなかった。直接レーベルの社長、ダグ・モリスとやってたのさ。

ボーは当時 RATT もプロデュースしてて特別だった。ボーは俺に何とかレコード契約を得させようとダグにずっと俺のデモを聴かせて勧めていたんだ。実際は誰も俺の音楽を聴きたくなくて、「もうキップ・ウィンガーの曲はお断りだ」って言われてた。

でも "State of Emergency" を聴いて心が動いたんで、カスのような契約をなんとかくれたって訳だ。だから(レーベル側の期待値がゼロだったので)俺たちはスタジオ内で誰にも指図されることなくレコーディングできる幸運を得たのさ。

それはいい。スタジオに余計な人は不要です。

『Pull』をレコーディングしていたときにはA&Rがついてたから、"Blind Revolutiion Mad" のリハーサルを聴いて、イントロの歌詞に「loveを入れろ」なんて言われたよ。そんなの自分の曲でやれっての。

とは言え、偉大なA&Rはいて、ジミー・アイビーン、ジョン・カロドナーとか。ただ俺には縁が無かったということ。アーティストを育てるというポジションの仕事は今では無くなってしまった。悲劇だけど、現実はそうだ。その代わり、インターネットのおかげで自力でやれるようになった。

曲に戻りますが、2分2秒のところ、レブの味わい深いギターソロです。そしてロッドが彼のドラムの腕を見せつけます。曲のラスト2分40秒は画期的です。MTVやラジオにこのアレンジが放送されたとは。

言いたいことは2つ。ロッドは彼らしくプレイした。「ロッド、君の腕を披露してくれ!」って頼んだ。彼は「いいのかい?」って。彼に思い切りプレイしてもらうのは俺がここに持ってきたサプライズなのさ。バンドにロッド・モーゲンスタインがいるんだ、「好きにやってくれ!」だろう?

驚異的です。

ああ、ロッドはリズムということでは何でもできるんだ。レールから外れても戻ってこれる。もう1つの要因は、リック・クレイムという人がMTVにいたんだ。彼は Dixie Dregs の大ファンでさ、こういうインストをMTVに出す助けをしていた。

"Headed For A Heartbreak" を出したとき、大きな騒ぎになった。芸術的ステイトメントを発信できたのさ。あの頃の俺たちには勢いもあった。

バンドのプログレッシブな面を印象付けました。曲のエンディングはコーダとしてアルバムのエンディングを示していましたね。

ああそうだ。俺は以来、アルバムの最後はああいう曲で飾っている。"Witness" とかさ。

MTVやラジオがこの長いエンディングをカットしようとしたことはありませんか?

当時のラジオはロックじゃなくてAORだった。ダニー・ブッシュはインスト好きで本来の曲のままプレイしてくれた。それに俺たちのビデオにはそれが入れてあったから。

曲半ばに36秒のソロ、終わりに2分のソロなんてとても変わっています。この曲はバンドを表す曲として相応しいですよ。今日はありがとうございました。何かファンに伝えたいことはありますか?

ニューアルバムの制作は3/4まできている。いつ仕上がるかはわからないが、やがて完成する。良い曲が入っている、俺は常に高い水準を目指すんだ。

個人活動では、今はナッシュビル交響楽団のためにバイオリン協奏曲を書いている。彼らとアルバムを出すよ。俺の初の交響曲は3月17日にナッシュビル交響楽団が演奏する。

俺はロックとクラシックの両方の世界で作曲中だ。ニューアルバムは割と早くできるだろう。皆、俺たちのページやYouTube チャンネルを購読してくれ。

 

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Winger のニューアルバムが今年中にはリリースされますように!

興味のある方は、下の過去記事でもキップが Seventeen や Headed の作曲裏話をしています。

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