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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ Part 2「そこに何か特別のものを感じなくてはならない」

先週に引き続き Sweetwater Gear Festival に出演した際に収録されたインタビュー動画の和訳です。後半ではヴァイ・バンドのメンバー達についてヴァイ先生のコメントがあり、興味深いです。

このフェスティバルで録画された動画があと2本あるのですが、下の動画はギターについてのトーク。ヴァイ先生が2020年のNAMMでJEMに何かが起こると話していました。ワクワクします!

 

 

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 (part 1 の続き)

さてそこで、君のユニークで創造的な才能に辿り着くには障害があると気付くだろう。その障害というのは、多くの人が思うように外界の障害ではないんだ。自分にはギアがない、まとまった金がない、あの人に選ばれない、といった否定的な考えはまやかしでしかない。自分自身のユニークで創造的な潜在能力を見つけるのに障害となるのは自分の頭の中の思考なんだ。不安や恐怖の感情だ。それらは状況を悪化させてしまう。そのような思考は健全な創造性を破壊するだけだ。

まずは自分で認識することが必要だ。そのような思考は自分の健全な創造性を破壊するだけだと。自分で自分の思考に対して疑問を持つことだ、これは生産的だろうかと。これは自分の気分を良くするだろうか、価値のある貢献に繋がるのだろうか、それとも他者と隔離する、恐怖に基づいたものだろうか、自分と他者の間に壁を創っているのだろうか。そういったことを認識することが必要なんだ。

そして、純粋にプレイしたいと思うこと。そのときに、君の内なる扉が開くのだよ。自分の欲求する感覚に近づくことで、それまでの雑音を認識することができ、そうすれば、選択することができる。それらの雑念を受け入れずにいられるのだ。それが開放だ。それは自分で何もする必要がない、自然にやってくるのだ。

それが偉大なミュージシャンとそれほどのレベルではなかったミュージシャンを分けたものでしょうか?

ああ。私がフランク・ザッパと同じ部屋にいたときの感覚だ。彼にはある意味、限界などなかった。彼の創造性には「ノー」の文字はなかった。良いと思ったら彼はやるだけだ。私がこれまでに仕事をしてきた人の多くもそうだった。例えばデイヴ・ロスはフランクといい対照になる。デイヴは非常に優れたパフォーマーで、強固な自信に溢れていた。あれがいわば彼の創造的表現だったのさ。

新鮮で新しく独創的で興味深くエンタメ性があるものを創造した人々、彼らはそのヴィジョンを確信しており、先入観なく、一切の言い訳なしにやったのだ。

それは実は誰にも可能なのだよ。ここで楽器演奏に惹かれた人がいるとしよう。名手になれるような道具がなく、例えば音痴だったとしよう。これはよくあることだ。ギターソロがモールス信号の羅列ように聞こえる人はよくいるだろう。でも彼らは他のことには反応できるんだ。ビートやグルーヴや曲の雰囲気などには。人の耳の聞こえ方はわからないものなんだ。それでも彼らが演奏を楽しめればそれでいいのだよ。その楽しみは演奏力のレベルと同期するんだ。

あなたが共演するミュージシャンを選ぶとき、何をポイントに選ぶのですか?

様々な要因があるね。1つは人柄が楽しいこと。私がミュージシャンを見る目は年月を経て変わった。何しろ私は40年もツアーしてきたからね。ツアーというのは人生の一部なんだよ。しかし、たった1つ(困った人間がいること)で全てが台無しになってしまう。だからこの10年15年を振り返ると、私はもうそういうことには耐えられないんだ。気のいい奴らとツアーに出て楽しいときを過ごす方がずっといいからね。

私がまず1つ目に求めたいのは、いいユーモアのセンスがあること。人柄が楽しく大らかであること。もちろん特定の分野における才能がなければいけない。その音楽との共感が持てることも必要だ。熱心で能力があり、成長したいという意思があること。

私のドラマーのジェイミー・コールソンと初めて会ったとき、彼はまだ若く、パンク小僧だったよ。彼はパンクのプレイヤーであまり音楽表現が豊かではなかった。彼のプレイはパワフルで真剣でタイム感がとても良かった。でも私が5連符をやってくれと言ったり、スローなバラードでゆったりプレイしろと言ったりすると、それは彼の守備範囲外だった。でも彼はそれら全てを学びたいととても熱心だったのだ。今では私は彼とならどんな曲でもプレイできる。年月を経て、彼は実に成長したんだ。そういう鍛錬できる人物と仕事をしたいと思う。

デイヴ・ウィナーもそうなんだが、彼は根っからのギターファンなんだよ。彼は素晴らしい。良き友であり、尊敬に値するプレイヤーだ。彼は音楽にとても敬意を払う人間で、優れた記憶力を持っている。

マイク・ケネリーは怪物だよ。私には不可能なことができてしまう、ギターとキーボードを同時に弾いたり。彼がやっていることはわかるんだが、私にはできないことだ。彼はいつも「もちろんできるよ、どうして欲しい?」という具合に何でもできるのさ。

ミュージシャンの条件としてはしっかり聴くことが大切だ。お互いにしっかりと相手の音を聴いて共振していなければ気持ちの良い音楽などできないのだよ。

その点において私のバンドでキーになっているのがフィリップ・バイノーだ。彼には絶対音感がある、私がどんなプレイをしようとも、彼は常にそこにいて、しっかり聴いて私のプレイの土台を創っているんだ。それはあまりに完璧で、私が外で誰かとプレイするまで気付かないくらいなんだ。

人にはそれぞれの才能があるが、ビリー・シーンにも別の才能がある。私からある技能を引き出してくれた。もし彼がいなかったら私にはあれらのプレイはできなかったかも知れない。

最近、私は若くて才能に溢れたジェイコブ・コリアーに出会ったのだが、彼の驚異的な創造性には感心するばかりだ。彼が私に1曲送ってくれて、何かできないかということだったのだが、全く異世界の音楽で創造性がとてつもないんだ。それに触発されて、私は別の世界に行くことができる。私の音楽は彼のとは違っているから、自分のことはできないからね。

それからもう1人。Dirty Loops のジョナ・ニルソンJonah Nilsson)が私に曲を送ってくれたんだ。私はいつも多くの人から曲を送られるのだけど、(私がそれに共感するには)そこに何か特別のものを感じなくてはならない。それが私を動かすのだ。善意だけではやれない、私も忙しいからね。

ジェイコブやジョナのような人物は音楽創造の知覚における革新をもたらすパラダイム・シフトなんだ。そう考えている。

あなたは多忙ですが、新しいアルバムは期待できますか?

そう願うよ。ニューアルバムに取り組んでもう…恥ずかしいからやめておこう。私の頭には多くのアイデアが図書館のように収蔵されているんだ。技術的なこともあって、何年もそれに取り組んでいるが、大変な練習が必要だ。いつも時間ができれば何とかしてあのリフに取り組むぞと考えているんだ。

今回、ニューアルバムに取り組んで、アイデアを確認していたら、何てことだ、これは大変な練習が必要だ!となったのさ。今は様々な予定を書きだして整理しているんだ。これらの予定をこなして家に帰ったら、自分のアイデアに向き合い、ニューアルバムに取り組むつもりだ。ギタープレイに大きく比重を置いたものになるだろう。

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ヴァイ先生がジョナ・ニルソンの音楽に参加するとは初めて知りました。次世代のミュージシャンとの交流も広がっていますね。残念なことは、ニューアルバムの制作があまり進んでいなさそうなこと。ええ、待ちますよ、いつまででも。(涙)

 

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