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スティーブ・ヴァイ Flex-Able 36th Anniversary: Part 6 アナログのマスターテープ復元からデジタルへ

Flex-Able』ライナーノーツの最終回です。

先生の中で、自分の過去作品を最新の機器で可能な限り高音質にして再リリースするというプロジェクトが今後進むのかも知れません。

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36th Anniversary Mastering Update

CDを製造するため、アナログのマスターテープからデジタルへの変換は80年代初頭に始まった。当時のコンバーターは私たちにとってはイカしたものだったが、現在のクオリティと比較するとヒドイ代物だ。この変換技術は長年のうちに進化した。

Flex-Able』が25周年を迎えたとき、私は最新のコンバーターでデジタル化し、リマスターしようと決めた。これはデジタルでのリリースのみのためにやったのだ、CDやLPを制作する程の需要はないだろうと思って。

これまでの間、自分の作品全てを最良の手法でデジタル化し、リマスターし、LP/CD/デジタルのフォーマットで再リリースすることを考えてきた。これを書いているのはまだ2020年だが、Flex-Able』を最初の再リリースに選んだのは、デジタル技術が当時から格段に進歩したからだ。

このプロジェクトでのLP製造は『Flex-Able』の(ステレオ・クォーター・インチ)マスターを見つけるところからだった。次に、そのテープをリールマシンにかけられるよう復元した。

Flex-Able』のケースに37年も入っていたアナログテープは、テープ上の酸化物粒子を留める糊が劣化して傷んでいる可能性がある。これは粘着剥離現象と呼ばれ、テープを使用不可にしてしまう。長年の内に糊が水分を吸収し加水分解を起こす。だからテープは冷涼で乾燥した環境で保管する必要がある。

奇妙なことに、粘着剥離現象を起こしたテープを復元する1つの方法は対流式オーブンで(食品乾燥器が最適)51~62度で9~12時間加熱することだ。これにより糊から水分子を除いて一時的な復元ができ、別のテープ又は形式に安全にコピーすることができるし、LPやCDのマスターに使用できる。加熱したテープは大抵数回ほど再生可能だが、その状態によるものの数ヶ月ほどが限度だ。

この36周年リリースのため、ダン・ジョンソンの手でマスターテープを加熱修復し、リストアしてもらい、バーニー・グランドマン自身によってリマスターしてもらった。

www.e-onkyo.com

最後に、変換したこのアルバムの音質について私は大喜びしていると同時に安心したよ。私たちがマスターした複数のフォーマットとは:

1. LP:アナログ・マスター、アナログ・マスター・プロセスによるアナログ・リリース(AAA)
2. CD用デジタル及びデジタル配信:44.1kHz x 16bit
3. デジタル・ハイレゾ:96kHz x 24bit
4. デジタル・ハイレゾ:192kHz x 24bit

今回のリリースについて私が言及するのはこれが最後になるだろう。かくして、この音楽を最新のフォーマットで、最新の機器で可能な限り最高音質に復元するという目的を達成した。この可愛く奇妙なアルバムはそれに値すると信じている。

この音楽に人々が価値を見出したことを嬉しく思う。私の心からの深い感謝をアルバムを手にした君に。我々は良いチームだよ!

 

スティーブ・ヴァイ
2020年9月21日
ロサンゼルス
午後5時45分