Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

The Aristocrats ライブ@ The Bottom Line 2023.02.07 誇らしきインスト・アルバムの快挙

コロナ禍で延期になっていた The Aristocrats のライブに行ってきました。私が彼らを観るのは2016年9月以来。ライブ会場は前回と同じ The Bottom Line で自由席+後方席はテーブル付というゆったりした大人の空間でした。

前回は曲毎に彼らの持回り式小話付きでとても面白かった(下のリンク参照)ので、今回も小話を楽しみにしていました。残念ながら曲紹介程度の短めのMCでしたが、演奏は彼ららしくクレイジーな激テク祭りで楽しめました。

staytogether.hateblo.jp

以下、ライブレポです。

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登場した3人は皆Tシャツ姿。変なTシャツを着ることが多いガスリーもマルコも今日は割と普通のプリントものを着ています。変Tシャツ見るのが楽しみだったんだけどなぁ。(笑)

驚いたのはガスリーが完璧な白髪ヘアになっていて、記憶よりもかなり痩せていたこと。健康面で何もないと良いなと心配しました。

オープニング曲は最新のライブアルバムでも冒頭にあった "D Grade Fuck Movie Jam" 。音圧高い生音を全身に浴びるのって久しぶり。(感涙)

ガスリーのリグには詳しくないのだけど、アンプは Victory じゃなかったっけ?ステージ上には Laney のキャビネットだけで、アンプヘッドは無く、キャビネットにマイキングなどしていません。

 

ということで調べてみたら、上の動画でツアーリグの説明をしていました。

コロナ禍で家にいた影響とハンス・ジマーとの仕事及びツアーでのオーケストラ共演の経験(ステージでアンプなんて鳴らせない)で、デジタルによる音作りの道に深く入って行ったそうです。

The Aristocrats の多様な音楽性を1つのアンプで表現するのは難しく、Fractal FM9 なら10のアンプサウンドを飛行機に持ち込める、という利便性に目覚めたよう。今までにできなかった作曲時のイメージに近いサウンド表現ができるようになり、満足しているとのことです。

実際にライブで聴いたガスリーのデジタル・ギターサウンドは、音の粒が硬質でツヤがある感じで、アンプを鳴らす場合のニュアンスや温かみのある音とはまた別物と感じました。個人的にはチューブアンプの音の方が好きだなぁ。

ライブに話を戻します。

ブライアン:ありがとう。さっきの曲はアルバム『You Know What...?』から "D Grade Fuck Movie Jam" だ。あのアルバムでツアー予定だったけど、(コロナ禍で)延期しなくちゃならなかった、遂に来日できとても嬉しい。今日は『You Know What...?』や他のアルバムからの曲と更に真新しい曲もプレイするよ。ここでマルコに代わろう。

マルコ:ワタシハ、マルコデス。ゲンキデスカ?アリガトウゴザイマス。ナマムギ・ナマゴメ・ナマタマゴ!

誰よ、マルコに日本の伝統的早口言葉教えたの?(笑)

マルコ:次の曲は新しい曲で未発表だ、とても難しい曲なんだけど気に入ってもらえるといいな。この曲の後はウィスキーが飲みたくなるんだよ、ほらこれは僕のサントリー・オールド。曲のタイトルは "Where's My Drink Package?" 

未発表の新曲も聴けちゃうとは嬉しい!リズミックでクールなヘヴィ・リフで始まり、どんどん曲調が変化していくスリリングな曲でした。ギターもドラムもヤバイ。

ブライアン:もう1曲『You Know What...?』からプレイしよう。ではこちらの紳士から。

ガスリー:アリガトウゴザイマス。文化によって違うと思うけど、名古屋の文化ではどうかな。君たち恐竜は好き?僕も好きだよ。それで恐竜の曲を書いたんだ。

これって恐竜の曲だったんだ。確かにイントロのギターが恐竜の唸り声に聞こえるかも。

ガスリー:もう1曲、恐竜の曲をやってもいいかな?いわば、バラードなんだけど、恐竜がいなくなった日のことなんだ。6500万年前に小惑星が降って来て、滅亡してしまったんだ。今は亡き恐竜たちを想って。

これも恐竜の曲だったんだ。曲紹介つきで曲のタイトル聞くとそういうことかとガッテン!でもバラードと言うにはギターがエグい。ベースとギターの掛け合いもドラムも全部強烈。

ブライアン:11年前には僕ら日本で初めてのツアーをやったんだ。こうして何度も来れて嬉しいよ。次の曲も『You Know What...?』から。僕の楽器が盗まれた話は知ってる?(注:ブライアンのFBで詳細が読めます)僕は行方を調べて警察に協力して犯人逮捕に至ったんだ。でもベースを取り戻せなかった。山あり谷ありの展開だったよ。それを書いた曲 "The Ballad of Bonnie and Clyde" 

ミュージシャンってどんな体験でも曲にできちゃうんだなぁ。

ブライアン:ダンスクラブについてどう思う?僕は90年代のダンス・ミュージックへのトリビュートが足りないと思っていた。C+C Music Factory の "Everybody Dance Now!"(歌ってみせる)みたいな。それでこれも未発表の新曲だ。"Aristoclub"!

彼らがダンス・ミュージック?とびっくりしたのですが、アップビートな明るい曲調とメロディを聴いて、私がイメージしたのはインドの Bollywood ダンサーが一糸乱れぬ踊りを繰り広げている様子でした。

曲はブレイクしてマルコのドラムソロへ。パワフル&強烈なソロはかなり長め。まるでマルコにドラム神が憑依したよう。

ステージにクリスさんが缶ビールを持ってきて Super Dry 乾杯タイム。

マルコ:次は未発表の新曲2曲をつなげてプレイするよ。ブライアンが書いた "Through the Flower" だ。これは何かを遠回しに言うことで、ドイツ語で「durch die blume」というんだ。例えば僕のさっきのドラムソロだけど、「素晴らしいドラムソロだったよ、短かったらもっと良かった」ってブライアンが言うとか。

そして2つ目の曲は僕が書いたそこの紳士についての曲 "Oh No" だ。その話をすると、ギアを持ってステージに上げる時に、僕とブライアンが前で、後ろがガスリーだった。ドイツ人の僕やアメリカ人のブライアンは汚い言葉を使って悪態をつくけれど、イギリス紳士のガスリーは違うんだ。

そのガスリーが "Oh, No!"(イギリス英語アクセントで)と声を出すから見ると、アンプが倒れていたんだよ。彼が出したこれまでで最も大きい音だったから深刻なことが起こったのだろうと思ったよ。

何と、新曲を合計4曲も聴けてしまうライブになるとは!

(訳者注:ドイツ語の慣用句 "durch die blume" を英語に訳したのが "Through the Flower" です)

ガスリー:次の曲は盗人ジャックの曲だ。彼は警官から逃れて、もっと盗もうと狙っている。"Furtive Jack" 

ジャズテイストの旋律、クールなベースから激しいギターソロに向かうとドラムの見せ場に突入、そしてクールダウンと展開の激しい変態系激テクにシビれます。

ここでブライアンから Ibanez ベースを用立ててくれた Ibanez に感謝の言葉が。このアジアツアーで使わせてもらえるそうで、その経緯は彼のFBにありました。サッチのツアーもあるんだし、遂にブライアンも Ibanez ファミリー!という訳ではないようですが、今後何か展開があるのかも。

ガスリー:この曲は全てにおいて終わりが避けられないことを書いたものだ。楽しい時が終わるのは寂しい。ライブの後でバーに行ってオーダーしようとすると「もうお終いです」と断れたときの悲しみときたら。"Last Orders" 

確かにラスト・オーダー終了してると無念だわ。(笑)やっと本当にバラードぽい曲きた。クリーンのサウンドが情感たっぷりで美しい。

3人が並んで一礼したところで大きな拍手に応えて、「もう1曲聴きたい?」からの「もう1曲」コール。

ブライアン:最後の曲は僕らの1stアルバムから。インストのアルバムなのに、E (Parental Advisory Explicit Content 不適切な表現を含むため、保護者に配慮を求める注意書き) 付けられたなんて誇らしいと思っているんだ。(笑)ここでボランティアを募るよ、言語は何でもいいから、曲の頭で4カウントして欲しいんだ。

3パートそれぞれをオーディエンスのカウントで始まったテクニカルに変態的なこの曲、〆をオーディエンスに掛け声で「サイコウ」「ナゴヤ」「ナマムギ・ナマゴメ・ナマタマゴ」などを要求し、笑いのうちに終演となりました。(ちょっと締まりがユルかったかも)

彼らの超絶演奏とジョークを楽しめたライブでした。また名古屋に来てね。言い忘れましたが、今回も豚と鶏のゴム製フィギュアがブイブイ鳴いて笑いをとっていました。


本日のセットリスト

01. D Grade Fuck Movie Jam
02. Where's My Drink Package?
03. Terrible Lizard
04. Bad Asteroid
05. The Ballad of Bonnie and Clyde
06. Aristoclub
07. Through the Flower/Oh No
08. Furtive Jack
09. Last Orders
encore
10. Blues Fuckers