これは昨年AXSTVで放送されたものですが、最近YouTubeにアップされましたので、一部を紹介します。インタビュアーとサッチの軽快なトークはやがてスタジオ内のギター紹介に展開します。
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本物のロックンロールな物を紹介してくれる?
そうだね、これ (Chrome boy) は多分私の一番有名なギターじゃないかな。この穴あきジャケットと合ううんだ。いったい誰が穴あきジャケットなんかを着るんだ?まあ私は明らかに着ていたけど。
これは "Summer Song" のビデオの為に手に入れたんだ。ギターはちょうどその頃できたもので、クロームギターをどう使うかまだ検討中だった。でもこのジャケットと合うだろう?確か、アリス・クーパーの "Hey Stoopid" でも着ていたよ。
(下の動画はちょうどサッチの登場シーンから再生されます。)
あと、このギターは映画にもいくつか出演している。クリストファー・ゲスト監督の『For Your Consideration』(2006年)では私がバンドで3秒程演奏しているよ。それから『マネー・ボール』(ブラッド・ピット主演 2011年)では球場で私が国歌を演奏している。
プラグインしてる?ちょっと弾いてみて?
やってみよう。こういう古いギターはいつも鳴るとは限らないんだけど、お!大丈夫だ!このギターはオリジナルのプロトタイプで、ギターのクローム加工をするってアイデアを試したものだ。
最終的には試みは成功して、新作のJS1CRになった。これは素晴らしいギターさ。でもクロームを木製ギターボディにまんべんなく貼る方法を見出すのに30年近くかかった。
ご覧のとおり、オリジナルのクロームは(ボディから剥離して)膨らんだり、クラックができたりしている。加工方法が違ったんだ。それでこいつには透明テープがいくつも貼ってある。1990年から多くのツアーで使い、いくつものアルバムで弾いている。
とても加工が難しいんだ。クロームは環境にも人体にも有害だから、それを克服するのに何十年もかかった。でもこうして古いギターを持って弾いてみると、「ああ、これ覚えている」と感じるんだ。
2本のクロームギターがあるけど、ついオリジナルの方に引き寄せられてしまうのかしら?
クロームギターは沢山あるんだ。オリジナルは3本あって、1本はフロリダのクリアウォーターで盗まれたままだ。取り返したいよ。
時々、eBayで探しているのかしら?
ああ、そうだね。盗まれるのはとても悲しいものさ。とてもアイコニックなギターだから、誰かが手元に置きたいのかも知れない。私の手元にはオリジナルが2本あって、大切なものだから、これらはもうあまり持ち出さない。
今は新しいのを使っている、素晴らしいサウンドさ。ニューアルバムでも使ったし、最近のツアーでもずっと使っている。G3ツアーでも、Hendrix Experience ツアーでも。
(別のペイントギターを取り出して)このギターはとてもクールだと思う。サンフランシスコのジェフ・バウアーのアートワークで全てペンとインクで描かれている。全部が蛇の絵だよ。これは "My Kinda Girl" "Future in the Past" (『Chickenfoot』)で使った。(2曲のさわりを弾いてみせる)
サミー・ヘイガーはこのTVで大人気よ。何か彼がバラされてびっくりするような話を教えて。
友達にそんなことできないよ。(笑)
ツアー中の変なくせや、偏食とか、要求リストとか。
彼は人生を楽しむってことを知り尽くしてるんだ。食も酒も楽しい時間をすごすってことも。だから皆は彼がステージに登場するのが好きなんだと思うよ。彼は生への渇望にあふれている。何をしてもポジティブな姿勢を持込んでくれる。
危険なことはしないんだ。テキーラ、ラム、ワイン、特にピノを楽しむけど、彼が飲み過ぎるのは見たことがない。食についても同じさ。素晴らしい食さ、ワインやチーズ、その他にも鼻が利く。
そしてもちろん、ロックに対しての感性は素晴らしい。さっき弾いた曲でも私が書いたのはメタルだったのだけど、サミーはそれを詩的アプローチでファンの心に届くものにした。皆が知っているように彼には素晴らしいスピリットがあるからね。
あと1つ見せたいものがあればどうぞ。
そうだね、これ。家のスタジオにいつも置いている楽器は僅かなんだ。これは『Super Colossal』のギターで、ツアーでも使ったし、『Chickenfoot』"Down the Drain" 他で使った。厚いヘヴィなサウンドがするギターだ。
例えば、あなたに目隠しをして後ろで誰かがギターを弾いたら、それがどのギターかわかるのかしら?
素晴らしい質問だ。「全てのサウンドは指に宿る」と言うだろう?これはある意味正しくて、例を話そう。
1991年に私と友人のスティーブ・ヴァイはブライアン・メイの Guitar Legends コンサート出演を誘われたんだ。ロンドンで数日、ブライアンとそのバンドとのリハーサルをしていたとき、私とスティーブはブライアンのギターに熱くなって、ある午後、勇気を出してブライアンに「あなたのギターを弾かせてもらえます?」って言ったんだ。
スティーブが先に試して、私を見て言うんだ、「ブライアンの音がする?」それで私は「いや、スティーブの音がする」と答えた。それで今度は私が試して「ブライアンの音がする?」と訊くと「いや、ジョーの音がする」と彼が答えた。
私たちは随分とがっかりしたのさ。なぜなら、私たちがあのギターを買えばブライアンの音が出せると思っていたから。でも実際にはこの指先の動きの何かによって、自分の個性を隠すことができないのさ。それらが表れてしまう。
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ブライアンのレッドスペシャルをワクワクして互いに試してみたサッチとヴァイ先生の様子を側で見てみたい。すっかりギターファンに戻ってレッドスペシャルを前に興奮していたのでしょうね。微笑ましい。
サッチのギターコレクションと言えば、今年の前半に行われていたジェイソン・ベッカーのチャリティで、サッチが『G3 Live in Denver』で弾いていたペイントの1点ものギター "Flame" が出品され、日本円換算で900万円超で落札されていました。(写真参照)
そこから察するに、オリジナルのChrome boyも凄い価値なんでしょうね…