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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ スタジオからギターコレクションを解説

スティーブ・ヴァイの自宅スタジオ "ハーモニー ハット"で撮影された、自身のギターコレクションを紹介する動画(3/12公開)にはワクワクしましたね!先生のスタジオでのギター紹介はこれまでにも何度かありましたが、今回はなかなか興味深いお話や新作の紹介もしてくれていますので、和訳掲載します。動画を再生しながら読んでください。

なお、ギター名は個体が持つペットネーム(vai.com 参照)かヴァイ先生が語る名称を記載しており、そうでない場合はモデル名を記載しています。

 

 

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私はユニークな機能があるギターに惹かれるようなんだ、その見事な独特のサウンドにね。それらは異なった種類の装置が付いていたり、特定の調整がされていたり、もしくはただユニークな楽器なのさ。

Blue Deep Cut Solid Body (Guild)

これは面白いギターだよ。多分80年代に Guild が私に創ってくれたもので、30フレットまであるんだ。

Micro (JEM)

これもとてもユニークなギターで、1オクターブにフレットが16あるんだ。ハーモニーを教える教師を混乱させるだろうね。このスケールのことを Xavier スケールと呼んでいる。これでコードや何か、そしてソロを弾くと全く異なる方向、別世界に行くようなのさ。この色だが Venta Black を聞いたことはあるかな。究極に暗く、穴が開いているように目に見えない程という色だ。その色を量産品のギターで使おうと思ったのだが、権利関係が固すぎて許可が取れなかったのさ。それで最も暗い黒を求めて多くの調査を行ったのさ。

Pushy (Ibanez RG)

このギターも面白い特徴がある。アームがボディに埋め込まれているんだ。

Ampie (JEM)

これも実に変わった楽器で、JEMに見えるが、アームが2本あるんだ。(ブリッジ部の)ブロックが真ん中で2つに分かれているから、面白いことができるのさ。

Samoht (Thomas の逆スペル、JEM)

これはJEMだが、他のものとは全く違うんだ。ギターテクのトーマスが私に創ってくれたものでね。このギターの特徴を全て語るにはトーマスを連れてこなくてはいけない。でもここのPUからの信号処理によって瞬時に異なったチューニングが可能なんだ。いわゆるデジタル処理だよ。それにこのギターでは瞬時にチューニングが可能なんだ。これは他のギターではないことだ。

実のところ、最近このギターでレコーディングをしたんだ。このギターのもう1つクールなところは、このトレモロシステムにあって、チョーキングしてもチューニングが狂わないんだ。普通のアーム使いでは弦を引っ張ったり、緩めたりするのでそういう訳にはいかないから、このギターの凄いところだ。

これでレコーディングした曲はコードを激しくアームで揺さぶったんだ、それでチューニングが狂わないんだから、他のギターではできないことだよ。

Sterling (Musicman)

これは『Modern Primitive』の "Upanishads" で使った。スターリング・ボールが私に創ってくれたものなんだ。7弦のシタールギターでね、ほら(信号を)減衰してシタールサウンドにしているんだ。そして共鳴弦があって、好きにチューニングできる。

Angel Hair

そこに古いシタールがある。私がシタールを初めて弾いたのはそれじゃなくて、全く同じものだったが、フランク・ザッパとプレイした時に使ったシタールだ。彼のシタールを使っていて、レコーディングやツアーで使った。長年彼から借りていて、彼に返したけれど、同じものを欲しいと思っていた。それであれを買ったのさ。私のアルバムのほぼ全てで使用している。

Stratocaster (Fender)

私は実はストラト好きなんだ。でも私のプレイに合わないんだよ、私のプレイでは弾きにくいと感じてしまう。私がJEMを創ったのは速さ、使い易さ、優美さ、伸びを求めたかったからだ。でもストラトは独自のサウンドがするから好きなんだ。これは58年頃のもので、ここにある珍しいヴィンテージの1つだ。特別なものをもたらしてくれるギターさ。私は自分にとって利用価値のあるものだけをここに置いているからね。

Sticker Strat (Fender)

76年製のこのストラトは私の最初の(本物の)ギターだ。高校、大学、フランク・ザッパの時代までずっと使っていた。フランクと仕事をして分かったことは、彼にはルールなんて無いということさ。彼がギターを改造して何かしたいとしたら、躊躇なくやっていた。それで、私は実験を始めたんだ。リヤにハムバッカーを載せたり、プリアンプや何だって。

Green Meanie (Charvel)

私が次に行ったのは Charvel のグローバー・ジャクソンのところだ、Alcatrazz にいたときだよ。サンバーストのスーパーストラトがあって、貸してくれたんだ。そのギターが Alcatrazz でのレコーディングの多くで使われている。『Eat 'Em And Smile』でも使った。そのギターが Green Meanie になったのさ。そしてツアーに出る段階になって、換える必要があった。何しろ多くの手を加えたから質の上での問題があった。

それでギターテクとハリウッドにあったパフォーマンス・ギターに買い物に行ったんだ。ボディを買って少し形を変えたよ。そして必要な部品を搭載していって、JEM が出来たのさ。それを4本作った。私の求めていたものを満たしており、レスポールストラトの見事な融合体だったよ。私が求めるものの多くは当時は市販されていなくて、でも私にはこれだと思っていた。Ibanez と会って彼らがこれは一般にも気に入られるんじゃないかと言うんだ。

Ronnie

このレスポールは比較的新しいものだ。私はデヴィッド・ボウイとミック・ロンソンの大ファンなんだ。ミックは表面が磨かれた美しいレスポールを使っていた。それが欲しくて買おうとしたんだ。でも余りに高額でね、彼の所有したギターは10万ドルクラスになっていた。でも彼の財産の管理をしていた人がこのギターを作っていて、私にも1本作ってくれたんだよ。これはミック・ロンソンのギターのレプリカなんだ。

JS Ibanez

これはお気に入りの新しいギターだ。親友のジョー・サトリアーニから貰ったもので、彼がツアーで2年間酷使していたものだ。(寄贈は2019年)表面をツアー後にバーナーで焼いて、裏に彼がペイントをして私の誕生日にくれたんだ。(ペイントが剥がれないように)裏面にカバー加工をした。(バックパネルの部分に Happy Birthday Steve と記載あり)良い音がするギターで、私が最も大切にするギターの1つだよ。当然さ、私にギターの弾き方を教えてくれた人に貰ったんだから。

Maestro

イングヴェイ・マルムスティーンがこのギターをくれたんだ。イングヴェイストラトでやることは実にユニークだ。弦のゲージは1弦から8、6弦で52とかだ。スキャロップも大きく施されている。彼のギターを持って弾こうとしても全く違う世界なんだ。でも貰ったよ。たまにこれでメロディック・マイナー・スケールを弾いてみるのは良い気分だ。

《裏面に書かれたイングヴェイのメッセージ》
Steve, you're a complete original, That's priceless, and even more so, a great friend. God Bless. Yngwie. Enjoy… 2003

「スティーブ、君は完全にオリジナルでかけがえがない。それ故に一層、素晴らしい友人だ。神の祝福を。イングヴェイ 楽しんでくれ…2003」
年代からしてG3での共演時に貰ったものと思われます。

House Lannister Jaguar(R) (Fender)

これは新しく加わったギターで、 Game of Thrones (大人気テレビドラマ)のファンなら分かるだろう。見事な職人の技が詰まったギターで、Fender がドラマのプロモーション用に作った3本のギターのうちの1つだ。(それらギターを使った演奏ビデオはこちら。ここではヌーノが弾いている)通常彼らはそういったセットのギターを分けることは無いのだけれど、私にはやってくれたんだ。

EVO (JEM)

他のギタープレイヤーも理解してくれると思うのだが、何故か私はいくつかのギターに個性を創り出してしまったんだ。常に頼りになり、それをプレイするとしっくり来る。EVOはもう何十年も弾いている。私が第一に選択するギターで別の何かが特別に必要でない限りレコーディングでも使う。ボディ前面にクラックやら酷使してついてしまっている。皆に「もうツアーに持っていくべきじゃない、家に置いていったほうがいい」と言われるけど、ダメなんだ。EVOが手元にないと、おしゃぶりを取られたかのように感じてしまう。(笑)

FLOIII (JEM)

もう1つはFLOだ。多分このギターは何年も一番使っているギターだと思う、これにはサステイナーが付いているから。私のスタイルや演奏や楽曲にサステイナーを取り込めば取り込むほどにこの個体に個性が創られ、弾き手が強化していくんだ。やがて愛して止まないようになる。

《PIAの説明パートは割愛しました》

Ultra Zone (Emerald Guitars)

これは Ultra Zone ギターだ。アイルランドアリスター・ヘイが私に創ってくれたもので、彼は際立ったギター職人だ。これが何という物質でできているのかは知らないんだが、彼は私の『Ultra Zone』のアルバムカバーで私がエイリアンのような楽器を弾いているのを見て、これを創らねばと思ったそうだ。素晴らしくクールなんだよ、ライトも点くし。不思議なことに肩に掛けると、とてもしっくりくるんだ、それにいい音がする。この何とも変わったギターに揃えるため、宇宙服をまとってプレイしたよ。レーザーが頭や指から出て注目の的だ。

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photo by Kuni

ウルトラ・ギターについては過去記事をどうぞ↓

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Purple Heart (Ibanez)

これは私の自慢のギターで、3本持っていた。手元にあるのはこの1本で、あと2本は赤いボディだ。1つは Hard Rock Cafe (Universal City, LA)にあって、もう1本はチャリティのクジ引きの商品にした。これも実にユニークなギターで、12弦と6弦のネックが2本ある。12弦と左手側の6弦を特定のコード用にチューニングしたんだ。私は両手利きじゃないからね。(両手で)あんな風にはプレイできない。随分と練習しなくちゃいけないんだ。

でも、皆マイケル・アンジェロ・ベティオは知っているだろう。彼はまるで怪物で驚かされたよ。彼を見ていて刺激されたんだ。でも私にはあんな風にプレイできない。私は赤いハートギターをDLRのビデオで見せるために使ったんだ。でもあれで何か音楽的なものを創りたいと思ってね、それで "Fever Dream" を書いたんだ。1本でコードを弾いて別のネックで弾きながら別のネックでまたコードを弾くのはクールだったね。

Barry (Universe)

Ibanez と仕事をしてきて面白いのは、私が思いつくどんなギターでも制作に乗ってくれるんだ。だから随分と変わったギターを創ってきたよ。でも彼らからきたあるアイデアには驚いたよ。それはこのDNAギターだ。マーブル柄で私用にカスタムメイドされたもので26フレットある。凄いだろう。

更に、彼らからの提案は「あなたの血をマーブル模様に入れませんか」だった。市販のDNAギターには私のDNAが含まれているってことだ。保守的な日本の会社がこの提案をしてるんだ!それで私は「面白い。やってみよう」と言ったのさ。別に初のアイデアじゃない、KISSだってコミックブックでやっている。彼らがインクに少しばかり血を混ぜたんだ。

でも私は病院に行って瓶に4本も血を採ったんだよ。この赤い模様には私の血が入っている。未来にこのギターからDNAを採取すればスティーブ・ヴァイのクローンが創れるかも。そいつは(私と違って)ラジオで自分の音楽を掛けてもらえるかも。(笑)