Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「 60~70歳はさほど老いてはいないが、ギタリスト年齢としては歳だ」

スティーブ・ヴァイが Twisted Sister の設立メンバーでギタリスト、ジェイ・ジェイ・フレンチのインタビューに応えました。

2人は出身地が同じで、ティーンの頃から Twisted Sister のライブを観ていたヴァイ先生にとっては子供の頃のヒーローとの会話でもあり、昔話で始終会話が盛り上がっていました。

これまでのブログに掲載した話も多かったのでそれらは割愛し、2人の会話の中から興味深かった部分の概要を以下にまとめてみました。

www.podcastone.com

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JJ:Jay Jay French, SV:Steve Vai

■はじめに

SV: ロングアイランドにいたティーンの頃の私は Twisted Sister を追っかけていたんだ。14~15歳の頃だ。君らはロングアイランドの生んだ僅かばかりの実にいいバンドだ。君らのバンドのライブに行くのが大好きでね、君らはロングアイランドで疑い無く最高のショウをやっていたよ。

■近所のギターショップ

SV: 最初に友達から買った5ドルのギターの次に買ったのは、近くにマシューの楽器店があっただろう?いつもあそこに行っていたけれど、金がなくて何も買えずにいた。

でもジミー・ペイジのファンだから、何とかしてレスポールらしきものが欲しいだろう?それで安い Univox の黒いレスポールをそこで買った。しばらくはそれを使ったけれど、(同じ理由で)ダブルネックが欲しくなった。

 
 
 
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それで、皿洗いや新聞配達などいろいろやって金を貯めたよ。それで Ventura のダブルネックを買った。私の初めての本物のギターは76年製のストラトで、マシューの店で買った。高校から大学、フランクとの仕事でも使っていたよ。

GibsonFender

JJ: GibsonFenderサウンドには大きな違いがある。私はギブソン派で、ハムバッカーとディストーションが必須だ。ギタリストにはどこかで自分の声、サウンドを選ぶときが来るものだけれど、君はどうだった?フランクとの仕事でストラトを使っていたのだから、決断をした訳だよね?

SV: 素晴らしい質問だ。ギタリストだけがこの大きな違いがわかる。若い頃はジェフ・ベックストラトレスポールを使い分けるのが好きだった。ジミー・ペイジジミ・ヘンドリックスにしてもね。私の場合は、アームを一目見たときから、直感的にあれが自分の腕の延長となることがわかっていたんだ。

でも私はストラトが好きじゃなくて、あれは私にはロックンロールに聴こえないんだ。もちろんリッチー・ブラックモアジミ・ヘンドリックスは素晴らしいサウンドをプレイしたけれど、私にはできなかった。弾きにくい上に良いサウンドではなくて。レスポールはもっと厚いサウンドがするけれど、ストラトとは全く異なる生き物だ。

私にはレスポールを上手く弾けない。しっくりこないし、アームも無い。それで私はストラトに決めたんだ。アームがあるが、トーンは薄い。私には厚いトーンよりもアームが重要だったんだ。

■アンプ

SV: 君の様に Marshall への憧れはなかった。スタックタイプのアンプは欲しかったけどね。最初に手に入れたスタックは Carvin のだ。それで、私が初めて手に入れたまともなアンプは Fender Bandmaster だよ。

JJ: 俺も持ってるよ。家に沢山アンプがあるんだが、妻に「何でこんなに沢山要るのよ?」と訊かれるんだが、「君の靴だって何であんなに要るんだ?」って話になったよ。(笑)ところで、君はギターとペダル、アンプについてそれぞれどれぐらい重要に思っていたんだい?

SV: 私はほとんどアンプに注意を払ってこなかったんだ。私には金が無かったし、種類が多すぎる。だから手に入ったもの何にでもプラグインしていたんだ。

最初に使ったのは Univox で、その後小さな Musicman を手に入れた。フランクのバンドに加わる頃、フランクはアコースティック用のアンプを使っていた。そしてフランクが Carvin を気に入ったので、私も引き込まれたんだ。

Carvin は私にスタックをくれたけれど、DLRバンドに入るまで私はトーンに真剣に向き合っていなかった。指も手もアンプも含め、どうにか自分のトーンを確立しなければと思った。自分のサウンドはまあOKではあったけど、トーンに向き合っていなかった。

エドワード(ヴァンヘイレン)やイングヴェイが出てきた頃、彼らのトーンは素晴らしかった。それらを聴いて、自分のトーンを何とかしなければと思ったのさ。

JJ: ギタリストは何千というギターやアンプと向き合うものだ。私の場合は1980年代にJudas Priest と共演した時に「このトーンだ」と思って、テックにどうしているのか訊いたんだ。
君はいつ、「これが自分のトーンだ」という決定的な瞬間があったんだい?

SV: 84~85年に Ibanez が Jem を創ってくれた。私のトーン探求は83年の Alcatrazz の頃からスタートした。Marshall 100 を使っていると本物のトーンの為にとんでもなくラウドにしなくちゃならない。私はそれまでフランクとやっていたのだから、そんな風にボリュームを上げることはなかった。

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Marshall にはエッジがあって私には少々粗いんだ。DLRバンドに入ると、ホセ・ヘルナンデスに会った。彼はエドワードのアンプに手を入れた人で、私の Marshall ヘッド3台の調整を時間を掛けてやってくれたんだ。DLR時代はずっとそれを使った。それが私のスタイル変化の始まりで、私はトーンに注意を払うようになり、やっとまともなギタープレイヤーのサウンドになったのさ。(笑)

■ザッパ

SV: フランクは音楽理論に精通していた。彼はそもそも作曲家なんだ。18歳のときに彼の勧めで読んだ作曲の本は随分と勉強になった。

フランクが私をオーディションしてくれたとき、彼のマネージャーは新しいギタリストを入れるのに反対だった。別室で彼らが話す声が聞こえたんだ。マネージャーは反対していた。でもフランクが「あいつが必要だ」と言ったのを聞いて、最高の気分だったよ。

■人生の感慨深い瞬間

SV: 子供の頃に観た Led Zeppelin のマジソンスクエアガーデンのコンサートが人生初めてのまともなロックコンサートだった。ステージから一番遠い、最上段の席だったが、人生最高の瞬間だったよ、ジミー・ペイジを観れるんだから。

それから13年程して、今度は自分がDLRバンドで同じステージに立った。ギターソロのスポットではソールドアウトになった会場を見渡した。そしてステージから一番遠い最上段の席にいた子供を見つけ、その子に向けてギターソロを弾いた。

■今まで観た中で最高のロック・ショウ

SV: 子供の頃のお気に入りバンドの1つは Alice Cooper で私はアリスが大好きなんだ。バンドは素晴らしいし、ロックでメロディックだ。数年前(2015年)に Rock In Rio に出たとき、アリスも Hollywood Vampires と出ていた。

彼らのステージを見ていたのだけど、真のアーティストというのは、キャリアを重ねると共に熟成され、その道の権威として自信に満ち溢れた姿になるんだ。それを目撃した。

同じことが君たちのバンド Twisted Sister についても言える。君らは自分たちのやることに信念を持ち、何の言い訳もなくやり通していた。熟練が素晴らしいパフォーマンスを生み出していた。

(こちらの過去記事では Rock In Rio で観たアリスのことも語っています。↓)

staytogether.hateblo.jp

■今後の予定について

JJ: ライブが可能になったら何をしようと思っている?

SV: 私はいつでも心の平穏を保とうとしているからね、(パンデミックで自宅に籠っていた)スタジオでは「良し、いつ終わるかわからなくても、これをやるぞ」と向き合った。そして(コロナ禍の)出口が見えてきたところで、ムズムズしてきたよ。

今はまだリハビリ中でツアーに出れる状態じゃないなのだが、この状況で上手くいけば、私の(コロナ後)初ライブは2022年1月19日となる。260回のショウを52ヵ国で行うツアーになるだろう。君たちは引退したのだっけ?

JJ: ああ、2016年が最後だった。私は人生で9千回ものライブをやった。AJ(Twisted Sister ドラマー)も亡くなった、マイク・ポートノイは素晴らしい代役をしてくれたが、AJはバンドの構成要素だった。私がバンドをやってもう50年になる。今はこうしてpodcastをやったり本を書いたりしているし、自分がやってきたことに満足しているよ。

SV: 60~70歳というのはさほど老いてはいないが、ギタリスト年齢としては歳なんだ。次のツアーが私にとっては最後の大規模なツアーとなる。旅は大好きなんだが、誰にでもツアーを最後にする時が来る。ギタープレイの歓びは変わらないが、大勢の観客の前に立ってプレイするには特定のマインドセットが必要だ。ハイエネナジーを注いだショウをやるとなると…

JJ: 俺たちはそれをやっていたんだ。俺たちは多数の観客を楽しませるためのショウを創ってきた。世界最高のフロントマンのディーもいた。

SV: ロングアイランド出身の子供の私は君らのショウを観て憧れたんだ。私は毎週のように通っていた、君らは真のインスピレーションだったよ。君らの完璧なバンドから多くを学んだ。ありがとう。

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最新のYG誌(21年6月号)にもありましたが、次のツアーがヴァイ先生最後の大規模ツアーかと思うと寂しい気持ちになります。(初日の日程が微妙に違うけど)

年上のサッチもまだまだ元気にツアーを続けてくれているので、先生にももっとツアーして欲しい気持ちです。ソロじゃなくて、G3や Generation Axe ならまだやってくれるのかな?ところで22年のツアー開始までにソロのニューアルバムは出るのでしょうか?というか、コロナ禍のこの2年で先生が完成させたプロジェクトってある?(暴言お許しを…Generation Axe のライブアルバム No.2 が年内発売できそうだと別のインタビューで先生が仰っていましたが、実現するといいな)