Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ ライブ@ Zepp Namba 10.16.2023 ソロでは9年振り来日!「家族として音楽を称えよう!」

ヴァイ先生のライブから2週間余りが過ぎましたが、まだ夢見心地で頭の整理が付かない状況です。それでも記憶の断片を繋ぎ合わせてライブレポを書いて記録を残してみます。

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暗転したステージの背景スクリーンに浮かび上がるVAIロゴ、イントロの重厚なフレーズを弾きながら登場するグリーンのシャツを羽織った先生。きたぁぁぁ!

もちろん観客へのグリーティングはギターによるシャウトです!ああ、これぞ先生の雄たけび!

 

オープニング曲は疾走感ある新曲の "Avalancha"で、ギターは BO です。ギターのダンテとハモるシーンがあるのですが、このシーンではギターテクのダグがペダルボードに駆けつけて先生のワウを操作しています。(後から動画見て知りました、ダグお疲れさん!)

自在にサウンドを操りながらのアーム・パフォーマンスは正に唯一無二のVAIワールド!あんなにアームを持ってギターを持ち上げても大丈夫なんだね、アーム脱落しないのかと心配しました。

"Giant Balls of Gold" では PIA の ONIX が登場。この曲をライブで聴けて嬉しいな。

会場の音は良く、最前列の席でもクリアにギターサウンドが楽しめました。

"Little Pretty" で登場したのは Ibanez ジョン・スコフィールド・モデルを Bonvillain Design Studio が美しいペイントを施したその名も Little Pretty。

怪しく美しいコードの響きが印象的なこの曲、先生にしては珍しいタイプのギターをプレイしても、完璧な異世界VAIワールドになるの、さすがです。

機材見学でこのギターを間近で見たのですが、本当に美しいペイントで感激しました。ホロウボディで会場によっては「鳴りすぎる」問題があるため、サウンドホールのFマークは黒いスポンジで塞いでありました。(以上、Gテクのダグ情報)

ここで EVO に持ち替えた先生がマイクを持ちます。

「ドウモアリガトウ、皆気分はいいかい?日本に戻れてうれしいよ、余りに(前回のソロ来日から)時間が掛かってしまった。でも今夜はここに君たちと共にいる。

2022年の5月からずっとツアーに出ているんだ。まだまだツアーは続くのだけどね、今夜はここで皆とすごせて嬉しいよ、来てくれてありがとう。

(コロナ禍を経て)再びライブ・ミュージックを称えられるのは素晴らしいよ。そして外の世界を忘れ、新聞を投げ出し、仕事を忘れ、イザコザを忘れ、家族として音楽を称えよう!

それからバンドメンバーの紹介が始まりました。先生のポーズに合わせてバンドに演奏を決めさせるところは毎度楽しめます。新入りのダンテは自慢の上腕二頭筋を披露させられるのですが、毎晩これやって微妙に嫌になってないカシラ?(笑)

先生のツアー用リグは今回かなり変わっているのですが、"Tender Surrender" の繊細な音色も含めて、完璧VAIサウンドでした。ラック機材は小さくまとまっており、以前のようにラックを挟むようにキャビネットが2台並ぶのではなく、Fryette LXⅡ パワーアンプからの信号はドラムセットの両側に設置された Marshall キャビネット(これは多分レンタル)に入り、マイキングされているようでした。

(ツアー機材の詳細は過去記事でどうぞ)

staytogether.hateblo.jp

『Modern Primitive』から唯一、セットリスト入りをしているのが "Lights Are On" というのも面白いです。ダンテとハモるシーンがあるのは見せ場にもなっていて良いね。(目の前で見れて幸せ)

この曲に使われている音声については面白い過去記事がありますので、こちらでどうぞ。

staytogether.hateblo.jp

"Lights Are On" の後にジャム的に始まったのは何だろう?先生のカッティングが堪能できる短いドラムとのジャムからの、ギターメロディを4本のギター(先生、ダンテ、サウンドエンジニアのダニ、Gテクのダグ)でハモるシーンは新鮮でした。ダニもダグも観客の前でギターが弾ける毎晩お楽しみのシーンに違いない。

そこから先生とダンテでギターのハモりがあり、フィリップのベースソロ、それから 曲に戻るという凝った進行になっていました。

"Candle Power" で ストラトタイプの EMY 登場。クリーンなサウンドもクリアに聴けて、あの不思議なベンドサウンドに浸かって気付けばやはり万華鏡のようなVAIワールド。

"Building The Church" がBOでなく、ONIXで演奏されて少し驚きました。

「皆気分はいいかい?ここで少し話すよ、妻がもう少し話した方がいいと言うんだ。文句は妻によろしく。

次の曲は『Inviolate』からなんだが、実は私の最新のリリースは『Vai/Gash』なんだよ。聴いてくれたかな?ああ、ロックンロールのアルバムだ。レコーディングしたのは31年前なんだよ。オートバイに乗っていて、その気分を味わう音楽が欲しかったんだ。このアルバムは友人のジョニー・ガッシュと創ったのさ。

私がツアーを始めて今年の10月で43年になる。こうしてアルバムを出してツアーできるのは本当に有難いことで、君たちに感謝しているよ。次の曲はブルースみたいなもので、言わばVAIブルースだ。"Greenish Blues"」

この曲はEVOで弾いていました。ブルースと言えど、そこはVAIブルースで、サウンドのあちこちにVAI印が刻印されて強烈!

映画『クロスロード』の動画を背景に始まったのはもちろん "Bad Horsie"!決闘シーンの若かりし先生の映像をバックに聴くのはたまりません!ギターはもちろんBOです。

ギターをONIXに持ち替えて始まったのは "I'm Becoming" で、今回のツアーで演奏されたレア曲です。映像は人間の生命の誕生までを描いたCGで、誕生前の赤ちゃんの映像と細部までサウンドをコントロールした神秘的な演奏が素晴らしかったです。最後に幼き日の先生の顔が映し出されて、「これは私だ!」と笑いをとる演出でした。

そのまま続けて演奏されたのはファンに人気の "Whispering A Prayer"。久しぶりに聴きますが、美しく懐かしい曲調と見事なギターサウンドは圧巻。フィードバック魔術と観客とのギターでコール・アンド・レスポンスを楽しんでから曲を締めました。

暗いステージに仰々しく布の掛けられた大きな物体が登場します。スポットライトの下で先生が布を外すと、でました、Hydra!

スタンド(Gテクのダグ制作)が良くできているなぁと感心しつつ、毎晩このビーストを奏でる先生の凄さに感服しました。先生の独演なので、フィリップやダンテは何をしているのかなと思って見てみると、補完的に各楽器を弾いていました。

「ここで少し時間をとって言いたいんだ。皆は Hydra を観たし、ビデオも観ているだろう。でも誰もこれを制作した人を見たことはないだろう。彼らは今夜ここに居るんだ。どこだい?立ってくれ、トモ、カズヤ、モロ!あー、そこにいた! Hydra を創った男たちだよ」

そう言うと、先生は深々とお辞儀をして手を合わせました。最上級の敬意を表しているのが見てとれます。(上記制作者のお名前はハッキリとは不明で先生の声を拾いました。YG誌の記録と比較すると一部違うので、ニックネームかな?)

「私たちはやり遂げたぞ!」

そう最後に胸を張った先生の言葉に関係者の方々も感涙だったのではないでしょうか。

実は私、ミート&グリートの合間に会場に来ていらした Hydra 製作者の1人に質問していました。

「大変なご苦労をされて制作したのだと思いますけど、次々とやってくる先生の無理難題な注文に匙を投げたくなったことはありませんでしたか?」

すると、立派な回答が返ってきました。

「イメージ画の段階からもの凄かったので、むしろ絶対にやり切るぞという気持ちでした」

職人気質といいますか、凄いですね、日本の物づくり。拍手

ギターを星野90周年記念のプロトタイプ7弦の Bluesheen に持ち替えた先生が演奏したのは重厚な "Zeus In Chains"。

この Bluesheen については機材見学時にGテクのダグから話を聞くことができました。7弦なら、欧州ツアーに登場していた Whitesnake 時代のアイコニックなミラーボールのギター Glissando が観たかったと伝えると、こんな話をしてくれました。

「あれは色々パーツを換えて試行錯誤していたんだ。とても重いのと、とても高価なギターだからツアーでの持ち運びが難題だった。

それでスティーブのギター保管庫から僕がこれを見つけたんだ。ボディのフィニッシュが美しくて、"Zeus In Chains" のビデオに登場する石像のイメージにぴったりだと思った。このポジションマークを付けたのだけど、とても美しい仕上がりだろう?」

なるほど~、と頷きながらも  Glissando が観たかったよ、と心の中で呟いていました。(なお、Bluesheen と Hydra 7弦には当初ポジションマークがなかったものの、ツアー前に追加された模様です)とにかくダグは気さくで優しくて、機材が気になるファン達の質問に何でも答えてくれる超いい人でした。ありがとう!

「よし、残りは2曲だ!(観客のガッカリした声に応えて)2曲とも1時間ものだよ(笑)次はメロディを知っていたら口ずさんでくれ、いつも輝かしく聴こえるからね」

FLOⅢに持ち替えて始まったのは "Liberty"。輝かしく希望を連想させるアップテンポなメロディです。背景の花火の映像と相まって、先生と音楽を祝福している気持ちになれるの幸せ。

「よし最後の曲だ。この曲はもう何度も演奏してきた。だから今夜は少し変えてみよう。なぜなら、我らのモニターエンジニアが素晴らしい腕であるのと同様に、オペラシンガーでもあると発見したんだ。ダニG来てくれ!」

神曲をボーカル付で聴くのは初めてです。今回のツアーでやっている演出なのですが、動画でチェックしていた初めの頃は先生のギターだけで聴きたい、などと思っていたのですが、実際に彼の歌声を聴いてみると、こういうのも良いなと思えて、心から楽しめました。2人が目の前に来て演奏してくれるのも最高でした。

 

演奏のバックに流れるのは何度も観た曲のMV。当時の先生の想いが込められているであろう祈りや戦争や様々な画像を観ながら、この魂を揺さぶる名演を聴くと、今の世界で起こっている戦争や争いに想いを馳せずにはいられませんでした。人間とは、神とは。

先生は政治的コメントをしない方ですけど、自身最後の大規模ソロツアーとしている今回のツアーで、過去にはツアーしていたウクライナ・ロシア・中東に行けないことは残念でたまらないのではないかと推察します。

演奏を終えて一旦ステージを去った先生ですが、EVOに持ち替えて再登場してくれました。始まったのはアンコールの定番 "Taurus Bulba"。先生はステージ両サイドのファンをしっかりと訪問してくれました。左側の前方ではアームに触らせてくれるというサービスも!(触れなかった、涙)

下の動画2時間15分辺りで、私の差し上げた花束を先生が受け取ってくださいますので、よろしければご覧ください。

カーテンコールを終えた先生がマイクをとって問いかけました。

「1つ質問がある。気分は良いかい?(観客の返事を聞いて)よし、私たちのここでの仕事は完了した。

ここで長年のサポートに感謝したい。今夜は素晴らしい会場、都市、観客の前でプレイできた。そして私のバンドは最高だろう?

ありがとう、皆に恵みがありますよう。また次の機会に会おう。おやすみ」 

はい、最高の気分です。どうかまた来てください。

 

本日のセットリスト

01. Avalancha
02. Giant Balls of Gold
03. Little Pretty
04. Tender Surrender
05. Lights Are On
06. jam ~ Incantation ~ bass solo
07. Candle Power
08. Dante solo
09. Building The Church
10. Greenish Blues
11. Bad Horsie
12. I'm Becoming
13. Whispering A Prayer
14. drum solo
15. Teeth of The Hydra
16. Zeus In Chains
17. Liberty
18. For The Love of God
encore
19. Taurus Bulba

 

【ライブを終えて】

今回もライブ前にEVO(VIP)に参加してきたのですが、以前よりも先生に触れ合える時間は残念ながら減ってしまった印象です。けれど先生のサインや写真よりも、ある意味楽しかったのが何人ものヴァイ・ファンに会い、お話ができたことでした。皆さん自慢のVAIモデルギターを持参されており、色々と見せて頂くのも楽しかった。先生にギターへサインしてもらったり、命名してもらった皆さんの嬉しそうな顔も良い。

何人もの方から当ブログを読んでいること、感謝の言葉を頂いたことも最高に嬉しかったです。

随分前の先生インタビュー記事で「自分の好きなこと、得意なこと、楽しいと思えることを、何の期待もせずに続けなさい、質を上げるよう努力しなさい、そうすれば同じ関心を持つ人たちが集まってくるだろう」という趣旨の話をしているのを読みました。ブログを12年書いてきて、「こういうことなんですね」と先生のライブを観ながら感無量になりました。様々なことに感謝の気持ちで一杯です。