Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

The Winery Dogs @ Bottom Line Nagoya 2023.11.22 満員御礼、ご機嫌のライブ

彼らのライブは2016年4月以来。7年振りか~、長かった。

リッチーはその間にソロで何度か観ているし、マイクとビリーは Sons of Apollo で、ビリーなんて今年の夏にも MR.BIG で観ているから、7年もご無沙汰だったとは意外な感じ。

Bottom Line は何度も来ている会場ですが、バルコニー席まで開放している公演は初めてです。この日はソールドアウトだったと思うので、キャパ一杯の800人?ということでしょうか、びっくり。確かに、入場前の列の長さや整理の仕方が普段とは違っていました。

The Aristcrats のときなんて、整理番号すらなかった椅子席だったなぁ…

今日の番号は余り良くなかったのですが、背の高い人を避けたポジションを探してみたら自然とリッチー前で、まずまずの視界が開けた場所を取れました。時間が経つに連れてホールはオーディエンスで一杯に。これは滅多にない事態。これで彼らまた名古屋に来てくれるよね。

開演時刻を15分ほど過ぎて、メンバーがステージに登場しました。リッチーがキャップを逆に被っている、珍しい。普通の服装(笑)だし、ネックレスの重ね付けがオシャレです。

マイクのドラムセットは2度目のツアー時よりもずっとシンプルになっていました。初回ツアーではバンドのカラーに合わせてシンプルなセットを使い、2ndツアーでは逆にツーバスの大きなセットに戻り、今回はその中間でしょうか。

オープニングは "Gaslight", "Xanadu" と新譜からのチョイス。イントロでギター、ビリーのベースが唸り、マイクのドラムがキレのあるリズムを刻む。そこにリッチーの声だもの、カッコ良くならない訳がない。

しかしながら、1曲目はギターとボーカルの抜けが悪く、ベースとドラムに飲み込まれてしまっていました。

またギターとボーカルが聞こえにくいスポットに立ってしまったのか?と悲しみに襲われたのですが、"Xanadu" からはギターもボーカルも割と聞こえるようになりました。バンザイ!

それにしても、リッチーが上機嫌過ぎる!そんなキャラじゃなかったハズなのに、ニコニコして、オーディエンスを指さしてアイコンタクトしたり、ギターソロで大きなアクションをして見せたり、彼に何があったのか?(笑)珍しいから記念にしっかり味わって帰ろうw

ビリーとリッチーのソロ掛け合いやらユニゾンやら嬉しいね、いいもの観れた。MR.BIG ではお高いチケットじゃないとビリーをこの距離では観れないけど、TWDでは普通に観れちゃうの嬉しい。

それにMR.BIG では音が悪くてじっくりビリーのベースも味わえなかったので、腹に響く低音とテクの数々を観て聴けたのは嬉しい。70歳かぁ、いつまでもお元気でプレイし続けていただきたい。ネックレスに「佛」の字が付いてるのね。

"Captain Love", "Hot Streak", "Desire" と立て続けに耳慣れた過去作からのヒットチューン連発は盛り上がりました!"Desire" ではジャムパートを挟んで、リッチーがたっぷり弾いてくれた。

「皆気分は良いか?俺たちも最高さ、次は新曲 "Stars"」

とリッチー。マイクがスティックでカウントを取っているも、リッチーが構えからなかなか弾かないので、オーディエンスが「あれ?」となる。苦笑いしつつ、リッチーのプレイが始まりました。イントロが出てこない時だってあるよねw

"Mad World" に続き、また新譜からのチョイス。やっぱり新譜を引っ提げてのライブはこれくらい新曲やってくれないと。

"The Other Side" に挿入されたジャムパートではガラリと雰囲気を変えて、ジャズ度高めの大人な展開。何でもできる凄腕集団なだけにライブ毎に様々な面を見せてくれる。

マイクのドラムソロが短くてさっぱりなのに対して、ビリーのベースソロはファンの求めに余すことなく応えるように、長尺であらゆるテクを披露してオーディエンスを楽しませてくれます。御年70歳にしてまだ進化しているように感じました、凄いわ。

ビリーの赤いアクリルボディのベースは "The Red Wine" に合わせてあるのよね、きっと。バンドロゴを貼ったワインボトルでスライドしてみせちゃう。ボトルネックじゃなくて、ボトル本体を使うところが何とも(笑)。

冒頭の演奏が印象的でカッコイイ "Oblivion" だけど、前回聴いたときとはまた少々違っている。このバンドのことだし、ツアー毎に曲のキャラクターも様々に変化するのだろうな。そこがライブの醍醐味でもある。

ここで一旦ステージから退いたメンバーたち。アンコールには意外と早く戻ってきてくれました。

ステージ右端に設置されたKORGの鍵盤まだ使ってないもんね!ステージが狭いから苦心しての設置だと思いますが、本当にステージの端でモニターやら機材が足元にあるし、逆サイドの人たちからは見えにくいのだろうなぁ。

鍵盤に向かって座り、軽く鳴らしながら弾くリッチー。手拍子が沸き上がります。

「これを初めて弾いたのは1995年なんだ。もうこんなに経つんだ。○○に拍手を」

○○の部分がはっきり聴こえなかったので、何のことだったのかな?

そこから鳥肌ものの "Lorelei" 一節をハイトーンで歌ってから、静かにエモーショナルに "Regret" へ。いい声してるわ~。

そして締めは1stからの "Elevate" で熱く盛り上がりました。オーディエンスの熱気が凄いライブで、メンバーたちも呼応してプレイしてくれたように思います。あー、楽しかった。

マイクが Dream Theater に戻ることで、このバンドはもう当分活動しないのだろうと思われますが、消滅ではなくて、5~6年のスパンで皆のスケジュールが合えば何かやってくれるのではないかと期待しています。(直近のマイクのインタビューでもそんな発言でした)

今回の欧州ツアーではライブの映像収録も行われたようなので、来年くらいにはライブBlu-rayを出してくれるのでは。これをマイクの不在中置き土産と思って、楽しみたいと思います。

 

本日のセットリスト

01. Gaslight
02. Xanadu
03. Captain Love
04. Hot Streak
05. Desire
06. Mad World
07. Stars
08. Damaged
09. drum solo
10. The Other Side
11. bass solo
12. The Red Wine
13. I'm No Angel
14. Oblivion
encore
15. Lorelei/Regret
16. Elevate

 

ジョー・サトリアーニ参加!ほぼ Chickenfoot で Van Halen トリビュート・ツアー決定!

何ということでしょう!先週に続いて一番観たいやつが来た!

1年ほど前にアレックス・ヴァン・ヘイレンが主導しての Van Halen トリビュート・コンサートの計画があり、それに参加するギタリストとしてジョー・サトリアーニリクルートされていたこと、結果的に構想は実現しなかったというニュースがありました。(詳しくは以下の過去記事で)

staytogether.hateblo.jp

エディの息子のウルフもトリビュートには関心がない中、この話はもう終わったのだと思っていましたが、まさかサミーがやるとは驚きました。

今年の10月にサミー期の Van Halen スタジオ・アルバムとレア音源を集めたリマスター・ボックスセット『The Collection II』が発売されたことも影響しているのかも。

バンド名も曖昧で、The Best of All Worlds と題されたこのツアーは7月にフロリダを皮切りに始まり、8月末まで続くよう。サミーの名前の下に配置されたロゴは意図的なVHロゴ風ですね。

 The Circle のギターにサッチが入ったというか、Chickenfoot のドラムにボーナムが入ったというかのバンドですが、Chickenfoot のライブを一目観たかった私にはたまりません!

このツアーのニュースリリースを兼ねて、バンド全員が14日にハワード・スターンの番組とエディ・トランクの番組に出演しました。以下はハワード・スターンの番組が公開した動画です。

 

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Howard Stern:The Best of All Worlds tour には誰が参加するの?

Sammy Hagar:このツアーでは Van Halen のカタログを深堀りするつもりだ。いつもの The Circle のライブでは Van Halen 5~6曲と俺の曲、Chickenfoot 曲を少々と Montrose や Led Zeppelin 曲を少しやるが、それを今度は真逆にして、俺の曲を5~6曲と Van Halen をかなり深堀りする。

それをするにはジョー・サトリアーニが必要だ。そうじゃなきゃ、つまりは…。だろ?

(Howard Stern が拍手)

HS:つまり君の大発表というのは、ツアーに出て主に Van Halen のカタログを沢山演奏するということだね。それは君とマイクがツアーに出て普段はやらないことだ。

SH:マイクと俺はもう長い付き合いだ。そしていつも(VH曲を演奏することを)話してきたが、それは脇に置いておいた。でももう時が来たんだ。誰もこれをやらないんだから。もしデイヴがツアーに出るなら、彼は俺の歌った曲は歌えない。俺たちなら初期のVH曲でもできる、そこに問題はない。俺がVHにいたときにそれはやっている。"Aint Talkin' 'Bout Love" をやったし、"Jump" ではオーディエンスを誰かあげてジャンプさせたもんさ。

これはあのバンドを祝うものなんだ。それができるのは俺たちだけなんだよ。行き先の街全てで、そこのミュージシャンを招待するつもりだ。どの街へ行っても、ギタリストはジョーを観るためにやって来る、かつてエディを観に集まったようにな。その街のギタリストを招いて、シンガーだって招く。もしアレックス・ヴァン・ヘイレンが飛び入りしたいと言ったら、もしデイヴ・リー・ロスが参加したいと言ったら、もちろん大歓迎だ。

HS:アレックス・ヴァン・ヘイレンが君のツアーに姿を見せる可能性はあるの?そして自分の弟の人生を祝福するのかい?

SH:そう願うよ。アルにはもう5年くらい月一くらいで声をかけてる。ただ返事はないけどね。

HS:どう連絡しているの?

SH:電話して留守電を残すだろ、テキストでメッセージ送るだろ、eメールを送るだろ、この3つさ。「アル、電話してくれ」って。

アルが返してくるお決まりのフレーズは「サム、俺たちはもう若くないんだ」なんで、こう言おう、「アル、俺たちはもう若くないんだ。電話をくれ。どうしたいか言ってくれ。こっちへ来いよ、集まろうぜ。マイクと俺とどこかで会おう」

HS:このバンドを何て呼ぶの?名前はある?

SH:Best of All Worlds tour。俺のレガシー・ツアーでもある。マイクと俺の言葉で言うと「俺たちの始めたことに終止符を打とう」さ。

HS:サミー・アンド・ザ・ボーイズ、Best of All Worlds サマー・ツアー

 

こちらの動画では「一番弾くのが難しいEVHのギターリフは?」の問いに対してサッチは "Mean Street" のイントロだと実演しています。

ちなみに、先ほど紹介した過去記事では

「"I'm The One" だ。エディは高速でスウィングしたプレイができるんだ。超正確に右手のプレイができる。あのシャッフルビートだよ、恐ろしい程さ」

と話しています。それでもサッチのことですから、夏のツアーに向けて完璧な準備で弾きこなしてしまうのだろうなと。

どうかこのライブを日本に呼んでください!

Satch-Vai Tour 発表!2024年春、北米ツアー開始!

何ということでしょう!一番観たいやつが来た!

 

サッチとヴァイ先生のツアーが発表されました。2024年3月22日~5月8日までの日程が決定していますが、ツアー日程を見ると、東海岸から中部あたりまでとなっています。これは更に西海岸の追加くる?

そこで、既に決定している サッチ/ヴァイ/Eジョンソン G3オリジナル・メンバーの2024年初頭のG3ツアー日程をチェックしてみました。こちらは1月23日~2月10日、主に西海岸のツアーです。

G3のツアーが余りに短いし、なぜ全米ツアーにしないのか不思議に思っていたのですが、これは恐らくエリック・ジョンソンに何か事情ができ、当初G3でブッキングした日程の後半に出られなくなったのでは。ちなみにエリックのツアー日程を見ると、4月に4公演ほどマイケル・ランドウとのツアーが予定されていました。

1人欠けたのでG3の名前は使わず、Satch-Vai ツアーということにしたのでは。だって、G3ツアーの画像とSatch-Vai ツアーの画像を作ったデザイナーさん同じでしょ?

そこで良くSatch-Vai ツアーの画像を見ると、「US TOUR」ってあります。これは他の地域もあるかも?と期待してしまう。

サッチのベーシスト、ブライアン・ベラーがこのツアーで「ジョーとプレイする」と言っていますので、ライブの形式はG3踏襲型で、サッチのバンドと先生のバンドがそれぞれのショウをやって、2人のジャムがある形式ではないかと想像します。

また今回のプレスリリースで注目なのはこの1行。

"In additional exciting news, for the first time they will collaborate on new music with plans to release just before the tour launches in March."

「更に興奮するニュースとして、彼らは初めて新曲でコラボレーションし、3月のツアーが始まる直前にリリースする計画だ」

何と!ビッグニュース!

サッチとヴァイ先生は意外なことに曲でコラボしたことがありません。アリス・クーパーの曲でそれぞれが収録したGソロが使われているとかはあるのですが、実際に2人でコラボしたスタジオ録音曲はないのです。

2015年にファンからの質問で「なぜスティーブとアルバムを作らなかったんだい?」と訊かれたサッチの回答はこうでした。

「私たちは違い過ぎるんだよ。私たちはあらゆる点で違いすぎるんだ。彼とはどうやって一緒のアルバムを作るかを何時間、何年間でも議論し合うことになるだろう。「ジョー、こんなアイデアがあるんだ」、「いや、スティーブ、このアイデアを聞いてくれ」って感じで。私たちはそんなに議論タイプじゃないんだけど。でも彼とは何度も一緒にステージでプレイしたよ。」

あれから8年が過ぎて、気持ちも状況も変わってきたのかな?

このイベントの詳細は下の過去記事で。

staytogether.hateblo.jp

最後にプレスリリースの文中にあったサッチとヴァイ先生のコメントを以下に和訳しておきます。

www.guitarworld.com

JS:Satch-Vai ツアーが実現する!スティーブと再びステージを共にするのがとても楽しみだ。私たちが共にプレイするといつも、ティーンエイジャーの頃に引き戻される。毎日毎秒、音楽を摂取して呼吸した日々だ。努力し挑戦し互いに協力し、出来得る限り最高の自分たちを目指した。きっと私たちは決して立ち止まらなかったのだろう。

SV:ジョーとのツアーはいつだって楽しみであり光栄なことだ。ジャムするのに彼はお気に入りのギタリストだし、今度は更なるショウの機会を得た。私たち2人共が絶頂期にあると思うから、このショウは世界で最もクールな楽器であるエレキギターを強力に称えるものになるだろうね。

どうか日本にも来てください!

 

スティーブ・ヴァイ 「自分の人生経験を豊かにすることを見出す」

あっという間に日本公演を終えて、ヴァイ先生の Inviolate tour は11月からオーストラリア・ツアーで、この先12月にはインド・ツアーが待機しています。世界中を周る今回のツアーでは先生をまだ様々な体験が待っていそう。

今回の中国ツアーは先生のこれまでの同国訪問で最も大規模で、余裕のある日程で組まれていた模様で、先生に多くの印象を残したようですね。2公演しかない日本では何かをじっくり体験することもなかったでしょう。次はゆったり滞在して欲しいものです。

今週は10月20日に先生がSNSに投稿した中国ツアーを振り返ったコメントを以下にとりあげます。

 

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私たちは最近中国ツアーを終えた。6都市で演奏し、8都市を訪問した。全ての体験は素晴らしく、期待を超えるものだった。

私が過去43年間に渡って地球をツアーして知ったことは、学校や歴史本やニュースでその土地や文化を学ぶことはできるが、実際にそこへ行き探索しない限り他文化を真に理解することはできないということだ。

求めていたものを発見できるし、私がツアーするときには、私が楽しめるもの全て、土地の食べ物や建築、芸術、人々、ファン、等々を求め、体験してみる。

私は政治色の濃い人間ではなく、殆ど直接にそういった経験はない。政治色に染まった対立はそこかしこにあるが、私は自分の人生経験を豊かにすることを見出す方が好きだ。

多くの人は世界を救うため、より多くをすべきだと感じるだろうが、誰にも効果的にできることは自らの才能と持ち合わせた手段で貢献することだけだ。

私の貢献とは私の創る音楽と訪問先の様々な土地で演奏することだと考える。私はエンターテイナーであることが最も得意で、この仕事を愛している。

エンターテイナーはつかの間、人々に現実からの逃避と気持ちの高揚、パフォーマンスにおののくような機会を提供するのが仕事だ。

刺激的なパフォーマンスや人々が好きなことをしていること大抵何でも、それらを目撃するときにはいつでも、私も同じことを感じるからわかるのだ。

私たちがこの中国ツアーで訪れた都市は魅力的だった。広大だ!最も小規模だった都市でさえ、ニューヨーク・シティよりも数百万人も人口が多かった。

都市は清潔で建築物と照明は見事だった。わずかな人種差別も全くなく、人々はむしろ我々に興味を持っているように見えた。私が会った人々は魅力的で、相手を尊重し、礼儀正しく、愛嬌があり、健全だった。ショウでのファンはとてつもなく支援的だ。

私たちは多くの名所を訪れた。万里の長城兵馬俑(へいばよう)、様々な寺院など、豊かで芸術的な歴史、そして中国文化を探索した。ユニークで素晴らしい食も堪能したよ、サソリやタランチュラのから揚げの他に多くの料理があるからね。(笑)

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最後のフレーズはジェレミーとダニさんが合肥市でヤバそうな屋台飯を食べていた投稿からきているものと思われます。(笑)

先生が中国で素晴らしい体験をされたのは良かったです。(日本でもして頂きたかったですけど)恐らく先生はかの国で世界的芸術家として特VIP待遇を受けられるので、素晴らしい現地スタッフにも恵まれたことでしょう。

「政治色うんぬん」のところは米中対立のことを、「世界を救うため」のところは中東情勢のことが念頭にあるのでしょうか。

個人的には今回のアジアツアーを通して、心配になっていることがあります。アジアの中での日本という公演先のプレゼンスが低下していることです。

円安と日本経済の地位低下、人口減少が更に進むと、今の様には海外アーティストの公演は組まれなくなるのだろうなと。それにビッグネームの洋楽公演が今後5万円~というチケットの価格帯が仮に一般化してきたとき、それは若者が観れない、懐に余裕のある中高年のものとなるのでは。

最後に景気の悪い話になってしまいました。観れるものは観れるうちに観ておかないといけませんね。

 

スティーブ・ヴァイ ライブ@ Zepp Namba 10.16.2023 ソロでは9年振り来日!「家族として音楽を称えよう!」

ヴァイ先生のライブから2週間余りが過ぎましたが、まだ夢見心地で頭の整理が付かない状況です。それでも記憶の断片を繋ぎ合わせてライブレポを書いて記録を残してみます。

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暗転したステージの背景スクリーンに浮かび上がるVAIロゴ、イントロの重厚なフレーズを弾きながら登場するグリーンのシャツを羽織った先生。きたぁぁぁ!

もちろん観客へのグリーティングはギターによるシャウトです!ああ、これぞ先生の雄たけび!

 

オープニング曲は疾走感ある新曲の "Avalancha"で、ギターは BO です。ギターのダンテとハモるシーンがあるのですが、このシーンではギターテクのダグがペダルボードに駆けつけて先生のワウを操作しています。(後から動画見て知りました、ダグお疲れさん!)

自在にサウンドを操りながらのアーム・パフォーマンスは正に唯一無二のVAIワールド!あんなにアームを持ってギターを持ち上げても大丈夫なんだね、アーム脱落しないのかと心配しました。

"Giant Balls of Gold" では PIA の ONIX が登場。この曲をライブで聴けて嬉しいな。

会場の音は良く、最前列の席でもクリアにギターサウンドが楽しめました。

"Little Pretty" で登場したのは Ibanez ジョン・スコフィールド・モデルを Bonvillain Design Studio が美しいペイントを施したその名も Little Pretty。

怪しく美しいコードの響きが印象的なこの曲、先生にしては珍しいタイプのギターをプレイしても、完璧な異世界VAIワールドになるの、さすがです。

機材見学でこのギターを間近で見たのですが、本当に美しいペイントで感激しました。ホロウボディで会場によっては「鳴りすぎる」問題があるため、サウンドホールのFマークは黒いスポンジで塞いでありました。(以上、Gテクのダグ情報)

ここで EVO に持ち替えた先生がマイクを持ちます。

「ドウモアリガトウ、皆気分はいいかい?日本に戻れてうれしいよ、余りに(前回のソロ来日から)時間が掛かってしまった。でも今夜はここに君たちと共にいる。

2022年の5月からずっとツアーに出ているんだ。まだまだツアーは続くのだけどね、今夜はここで皆とすごせて嬉しいよ、来てくれてありがとう。

(コロナ禍を経て)再びライブ・ミュージックを称えられるのは素晴らしいよ。そして外の世界を忘れ、新聞を投げ出し、仕事を忘れ、イザコザを忘れ、家族として音楽を称えよう!

それからバンドメンバーの紹介が始まりました。先生のポーズに合わせてバンドに演奏を決めさせるところは毎度楽しめます。新入りのダンテは自慢の上腕二頭筋を披露させられるのですが、毎晩これやって微妙に嫌になってないカシラ?(笑)

先生のツアー用リグは今回かなり変わっているのですが、"Tender Surrender" の繊細な音色も含めて、完璧VAIサウンドでした。ラック機材は小さくまとまっており、以前のようにラックを挟むようにキャビネットが2台並ぶのではなく、Fryette LXⅡ パワーアンプからの信号はドラムセットの両側に設置された Marshall キャビネット(これは多分レンタル)に入り、マイキングされているようでした。

(ツアー機材の詳細は過去記事でどうぞ)

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『Modern Primitive』から唯一、セットリスト入りをしているのが "Lights Are On" というのも面白いです。ダンテとハモるシーンがあるのは見せ場にもなっていて良いね。(目の前で見れて幸せ)

この曲に使われている音声については面白い過去記事がありますので、こちらでどうぞ。

staytogether.hateblo.jp

"Lights Are On" の後にジャム的に始まったのは何だろう?先生のカッティングが堪能できる短いドラムとのジャムからの、ギターメロディを4本のギター(先生、ダンテ、サウンドエンジニアのダニ、Gテクのダグ)でハモるシーンは新鮮でした。ダニもダグも観客の前でギターが弾ける毎晩お楽しみのシーンに違いない。

そこから先生とダンテでギターのハモりがあり、フィリップのベースソロ、それから 曲に戻るという凝った進行になっていました。

"Candle Power" で ストラトタイプの EMY 登場。クリーンなサウンドもクリアに聴けて、あの不思議なベンドサウンドに浸かって気付けばやはり万華鏡のようなVAIワールド。

"Building The Church" がBOでなく、ONIXで演奏されて少し驚きました。

「皆気分はいいかい?ここで少し話すよ、妻がもう少し話した方がいいと言うんだ。文句は妻によろしく。

次の曲は『Inviolate』からなんだが、実は私の最新のリリースは『Vai/Gash』なんだよ。聴いてくれたかな?ああ、ロックンロールのアルバムだ。レコーディングしたのは31年前なんだよ。オートバイに乗っていて、その気分を味わう音楽が欲しかったんだ。このアルバムは友人のジョニー・ガッシュと創ったのさ。

私がツアーを始めて今年の10月で43年になる。こうしてアルバムを出してツアーできるのは本当に有難いことで、君たちに感謝しているよ。次の曲はブルースみたいなもので、言わばVAIブルースだ。"Greenish Blues"」

この曲はEVOで弾いていました。ブルースと言えど、そこはVAIブルースで、サウンドのあちこちにVAI印が刻印されて強烈!

映画『クロスロード』の動画を背景に始まったのはもちろん "Bad Horsie"!決闘シーンの若かりし先生の映像をバックに聴くのはたまりません!ギターはもちろんBOです。

ギターをONIXに持ち替えて始まったのは "I'm Becoming" で、今回のツアーで演奏されたレア曲です。映像は人間の生命の誕生までを描いたCGで、誕生前の赤ちゃんの映像と細部までサウンドをコントロールした神秘的な演奏が素晴らしかったです。最後に幼き日の先生の顔が映し出されて、「これは私だ!」と笑いをとる演出でした。

そのまま続けて演奏されたのはファンに人気の "Whispering A Prayer"。久しぶりに聴きますが、美しく懐かしい曲調と見事なギターサウンドは圧巻。フィードバック魔術と観客とのギターでコール・アンド・レスポンスを楽しんでから曲を締めました。

暗いステージに仰々しく布の掛けられた大きな物体が登場します。スポットライトの下で先生が布を外すと、でました、Hydra!

スタンド(Gテクのダグ制作)が良くできているなぁと感心しつつ、毎晩このビーストを奏でる先生の凄さに感服しました。先生の独演なので、フィリップやダンテは何をしているのかなと思って見てみると、補完的に各楽器を弾いていました。

「ここで少し時間をとって言いたいんだ。皆は Hydra を観たし、ビデオも観ているだろう。でも誰もこれを制作した人を見たことはないだろう。彼らは今夜ここに居るんだ。どこだい?立ってくれ、トモ、カズヤ、モロ!あー、そこにいた! Hydra を創った男たちだよ」

そう言うと、先生は深々とお辞儀をして手を合わせました。最上級の敬意を表しているのが見てとれます。(上記制作者のお名前はハッキリとは不明で先生の声を拾いました。YG誌の記録と比較すると一部違うので、ニックネームかな?)

「私たちはやり遂げたぞ!」

そう最後に胸を張った先生の言葉に関係者の方々も感涙だったのではないでしょうか。

実は私、ミート&グリートの合間に会場に来ていらした Hydra 製作者の1人に質問していました。

「大変なご苦労をされて制作したのだと思いますけど、次々とやってくる先生の無理難題な注文に匙を投げたくなったことはありませんでしたか?」

すると、立派な回答が返ってきました。

「イメージ画の段階からもの凄かったので、むしろ絶対にやり切るぞという気持ちでした」

職人気質といいますか、凄いですね、日本の物づくり。拍手

ギターを星野90周年記念のプロトタイプ7弦の Bluesheen に持ち替えた先生が演奏したのは重厚な "Zeus In Chains"。

この Bluesheen については機材見学時にGテクのダグから話を聞くことができました。7弦なら、欧州ツアーに登場していた Whitesnake 時代のアイコニックなミラーボールのギター Glissando が観たかったと伝えると、こんな話をしてくれました。

「あれは色々パーツを換えて試行錯誤していたんだ。とても重いのと、とても高価なギターだからツアーでの持ち運びが難題だった。

それでスティーブのギター保管庫から僕がこれを見つけたんだ。ボディのフィニッシュが美しくて、"Zeus In Chains" のビデオに登場する石像のイメージにぴったりだと思った。このポジションマークを付けたのだけど、とても美しい仕上がりだろう?」

なるほど~、と頷きながらも  Glissando が観たかったよ、と心の中で呟いていました。(なお、Bluesheen と Hydra 7弦には当初ポジションマークがなかったものの、ツアー前に追加された模様です)とにかくダグは気さくで優しくて、機材が気になるファン達の質問に何でも答えてくれる超いい人でした。ありがとう!

「よし、残りは2曲だ!(観客のガッカリした声に応えて)2曲とも1時間ものだよ(笑)次はメロディを知っていたら口ずさんでくれ、いつも輝かしく聴こえるからね」

FLOⅢに持ち替えて始まったのは "Liberty"。輝かしく希望を連想させるアップテンポなメロディです。背景の花火の映像と相まって、先生と音楽を祝福している気持ちになれるの幸せ。

「よし最後の曲だ。この曲はもう何度も演奏してきた。だから今夜は少し変えてみよう。なぜなら、我らのモニターエンジニアが素晴らしい腕であるのと同様に、オペラシンガーでもあると発見したんだ。ダニG来てくれ!」

神曲をボーカル付で聴くのは初めてです。今回のツアーでやっている演出なのですが、動画でチェックしていた初めの頃は先生のギターだけで聴きたい、などと思っていたのですが、実際に彼の歌声を聴いてみると、こういうのも良いなと思えて、心から楽しめました。2人が目の前に来て演奏してくれるのも最高でした。

 

演奏のバックに流れるのは何度も観た曲のMV。当時の先生の想いが込められているであろう祈りや戦争や様々な画像を観ながら、この魂を揺さぶる名演を聴くと、今の世界で起こっている戦争や争いに想いを馳せずにはいられませんでした。人間とは、神とは。

先生は政治的コメントをしない方ですけど、自身最後の大規模ソロツアーとしている今回のツアーで、過去にはツアーしていたウクライナ・ロシア・中東に行けないことは残念でたまらないのではないかと推察します。

演奏を終えて一旦ステージを去った先生ですが、EVOに持ち替えて再登場してくれました。始まったのはアンコールの定番 "Taurus Bulba"。先生はステージ両サイドのファンをしっかりと訪問してくれました。左側の前方ではアームに触らせてくれるというサービスも!(触れなかった、涙)

下の動画2時間15分辺りで、私の差し上げた花束を先生が受け取ってくださいますので、よろしければご覧ください。

カーテンコールを終えた先生がマイクをとって問いかけました。

「1つ質問がある。気分は良いかい?(観客の返事を聞いて)よし、私たちのここでの仕事は完了した。

ここで長年のサポートに感謝したい。今夜は素晴らしい会場、都市、観客の前でプレイできた。そして私のバンドは最高だろう?

ありがとう、皆に恵みがありますよう。また次の機会に会おう。おやすみ」 

はい、最高の気分です。どうかまた来てください。

 

本日のセットリスト

01. Avalancha
02. Giant Balls of Gold
03. Little Pretty
04. Tender Surrender
05. Lights Are On
06. jam ~ Incantation ~ bass solo
07. Candle Power
08. Dante solo
09. Building The Church
10. Greenish Blues
11. Bad Horsie
12. I'm Becoming
13. Whispering A Prayer
14. drum solo
15. Teeth of The Hydra
16. Zeus In Chains
17. Liberty
18. For The Love of God
encore
19. Taurus Bulba

 

【ライブを終えて】

今回もライブ前にEVO(VIP)に参加してきたのですが、以前よりも先生に触れ合える時間は残念ながら減ってしまった印象です。けれど先生のサインや写真よりも、ある意味楽しかったのが何人ものヴァイ・ファンに会い、お話ができたことでした。皆さん自慢のVAIモデルギターを持参されており、色々と見せて頂くのも楽しかった。先生にギターへサインしてもらったり、命名してもらった皆さんの嬉しそうな顔も良い。

何人もの方から当ブログを読んでいること、感謝の言葉を頂いたことも最高に嬉しかったです。

随分前の先生インタビュー記事で「自分の好きなこと、得意なこと、楽しいと思えることを、何の期待もせずに続けなさい、質を上げるよう努力しなさい、そうすれば同じ関心を持つ人たちが集まってくるだろう」という趣旨の話をしているのを読みました。ブログを12年書いてきて、「こういうことなんですね」と先生のライブを観ながら感無量になりました。様々なことに感謝の気持ちで一杯です。

スティーブ・ヴァイ Part 2 「革新とは実のところ集団による成果なのだ」

いよいよ、週末明けの月曜日からヴァイ先生の日本公演が始まります!今回の単独公演は貴重です、見逃さぬよう大阪/東京公演に駆けつけましょう!

今週は先週のインタビュー訳の続きで、VAI説法満載です。

www.guitarthrills.com

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この時代において革新者とあなたが考える人はだれでしょう?どのような成果があなたの目にとまりましたか?

ユニークでクリエイティブな自分の内面の声を聞き、それらのアイデアをこの世に実現しようとする者は皆、集合体として革新の一部なんだ。

誰も自分一人で革新を起こすのではない。自分の先人による道具の革新があったからだ。私もこの世の誰も、自分以外の人々の成し得たこと無しには何もできない。

革新とは、実のところ集団による成果なのだ。革新とは、皆のユニークでクリエイティブな追求に貢献する思考と実行の集合体なのだ。

私たちは革新を1人の成果だと思いがちだが、実際には個人が成果を出すまで、多くの人々による努力によるもので、先人が発展させた道具の礎の上にある結果なのだ。

多くの「創造者」は自らの創造力の基礎を既に存在するものに置いている。人工知能と同様に。しかし、他人の成果を模倣するところからきたものは表面的で様々な形式での過去の焼き直しだ。

真の革新とは、人が自身のイマジネーションをアイデアやユニークな心像の源泉に使うことで生まれる。これは人々が日常で常にしていることだ。料理でも、ビジネスでも、芸術、商業、スポーツなどなど。

真に革新的となるには、シンプルに自分と共鳴する創造的アイデアを見つけなくてはならない。自分の内面に在る無限のクリエイティブな想像の世界に到達し、自分にとって興奮し、やらずにいられない事を見つけるのだ。

ひとたび君に興奮をもたらすアイデアを見つけ、それが達成可能であるとわかれば、自然と天が君を通じて成すだろう、君がそれを許しさえすれば。

君のユニークでクリエイティブなアイデアを妨げるものは君自身だ。障害とは外界にあるのではない。障害となるのは君を興奮させたアイデアを達成することに対する否定的な思考だ。それが常に実現を失敗させる基礎にある。

しかし、君に興奮するアイデアがあり、それが実現可能だと感じるならば、君はその熱意を守らねばならない。熱意の進化形は情熱であり、君が創造的アイデアに情熱を持つならば、太陽も月も星々も君と共に達成すべく作用するだろう。

あなたは長らく多くの作品で成功を収めてきましたが、『Inviolate』で再び音楽業界を震撼させると想像していましたか?

業界を震撼させるというのは思いもしないけれど、ある特定のタイプの音楽ブランドを提供するということであれば、イエスだ。私は夢中になれるアイデアを追求するのが大好きだからね。

全てのアーティストが歳を重ねつつ創作活動を続ける理由はそれだと思う。恵みであり呪いでもある。創造的衝動に従い、言い訳無しに取り組むとき、年齢や時間は制約ではない。無論、良識の範囲内でね。

最近の音楽で刺激を受けたものはありますか?新人であなたが目にとめる人は誰でしょう?

幸運なことに、私は恐らく3~4世代に渡ってギタープレイヤー達が進化するさまを見てきた。そしてそれぞれの進化において、楽しめるものがあった。多くのコンテンポラリー音楽を楽しんでいるよ。

プレイの革新やテクノロジーには驚かされるものがある。多くの新参ギタープレイヤーに刺激を受けている。

特に Polyphia の2人や、マテオ・マンクーソ、ダニエレ・ゴッタルト、トシン・アバシ、ガスリー・ゴーヴァン、サラ・ロングフィールド、グリスティン・イングラムマテウス・アサト、マーチン、モヒニ・デイ、イチカ・ニトー、イヴェット・ヤング、コリー・ウォンなどなど。

(訳者注:ここで名前が挙がったギタリストは殆どが2024年1月開催の Vai Academy のゲスト講師陣ですねw)

 

(インタビュー概要終り)

尚、来週のブログ更新はお休みします。再来週にはライブレポをまとめてアップする予定です。

スティーブ・ヴァイ Part 1 「真の革新とは大抵は自然に起こるものだ」

ヴァイ先生の来日公演まであと1週間余りとなりました!期待と興奮が高まりますね。

今週は先生が「革新」について語った深いインタビューを紹介します。VAI説法満載なので、じっくりお言葉を味わってもらえたら幸いです。

www.guitarthrills.com

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あなたはご自身を革新者と考えますか?

自分をそう考えるようになったのは最近のことだ。その言葉が私に紐づけられているのを見るようになったのでね。

真の革新とは大抵は自然に起こるものだ。それは人の日常からシンプルで実用的なアイデアとして心に芽生え、実際にはそれが革新だなどとは思いも寄らない。

計画的にできるようなものではないと思うね、なぜならその成果を目にするまで「革新」の結果はわからないのだから。

私が関連したものの中でいくつかは革新と捉えられることはあると思う、その影響がその後開花していったことからもね。

私の貢献でそう思えるものは…うーむ、難しいね、こういう回答は時として自己中心的になりがちだから。でも挙げてみよう。

A.複雑なポリリズム採譜

私は18歳でザッパの譜面起こしを始めた。ヴィニー・カリウタのドラム上でのザッパのギターソロ譜のいくつかは、特に複雑な重奏譜面で特異だった。「フランク・ザッパ ギター・ソング・ブック」で見れるよ。

リズム面でのアイデアが含まれていると思う、当時ではそのようなコンセプトは考えられなかった。彼らがいかに先端を行っていたのか、革新的であったのか、当時の私は知りもしなかった。

B.Ibanez Jem ギター

私がこのギターをデザインしたのは80年代の初めで、これは私の特異なプレイスタイルの方向性への回答だった。深いカッタウェイと24フレットの「スーパーストラト」スタイルのギターで、ピックアップの配置構成とトグル・スイッチのコイル切り替えは当時ユニークだったし、フローティング・トレモロ・システムは音符を完全5度またはそれ以上上げることを可能にして、そういった要素は当時のギターとしては一般的ではなかったので、今にしてみれば「革新的」と言えるだろう。

当時の私は革新的だとは思わなかった。ただ自分のシンプルで自然なアイデアに従っただけだ。反論する人もいるだろうけれど、それで構わない。当時の私にとってそのアイデアはユニークだったんだ。

C.ダイアトニック・ハーモナイザー

80年代の中ごろ、私は Eventide 社から彼らが開発中のハーモナイザーへのアイデアを求められた。当時、私の知る限り、「ハーモナイザー」とは彼らの登録商標で、彼らがそのアイデアの源泉だった。彼らのハーモナイザーは主音の音程と並行したハーモニーで1音動かすことができた。

私は全音階の音程変化と複数声、例えば9つを提案した。個別にエフェクトすることで、各音程は変化し異なったサウンドになるだろう。

全音階声は使用者が指定する例えば C Major など、特定のキーに従う。その一方でオプションも提案した。それはハーモナイズされた音が従う合成スケールを創ることだ。

他にも私が提案したアルゴリズム的なアイデアも当時ではユニークだったろう。それにしても全音階の音程変化は新しかった。

今日ではそれは「スマート・ピッチ・シフティング」の名前でほとんどのピッチ変更エフェクターに備えられている。おそらく当時の私は革新的なアイデアだと思っただろう。

(訳者注:"Ballerina 12/24" での活用について、以下の過去記事で読めます)

staytogether.hateblo.jp

D.突飛なアーム使い

私のアーム使いのいくつかが革新的と言うつもりはないが、多くの人がそう言うのは見た。革新的とは私が主張するのではなく、そのいくつかは人が私についてそう言ったということだ。

あなたの音楽キャリアのうち、どの時点で自分が何か偉大な事を成し遂げるとわかりましたか?最初は何だったのでしょう?

私は常に自分にとって何か偉大な事を成しているように感じていた。

私が初めて Led Zeppelin の曲を弾けたとき、自分にとって凄い事だと思った。私が作曲を始め、高校で交響曲を書いたときも、自分にとって偉大な事だと思った。

私がザッパの為にあれら全ての採譜をしたときも、彼の複雑な曲を演奏できるようになったときも、『Flex-Able』,『Crossroads』,『Passion And Warfare』などを創ったときも。全て自分にとって偉大な成果だと思った。

しかし、世間が自分のしたことをどう評価するのかは知る由もない。音楽界そしてギター界の目から見て偉大な事を成すかについて、私は何の期待もしていなかった。

私にはかつての時から今に至るまでに積み上げたあらゆる小さな達成事項が偉大だとわかっていた。なぜなら、それらは私に達成感と歓びの感情をもたらしてくれたからだ。

全てのギタープレイヤーに対して、自分の達成事項は素晴らしいと感じるよう強く促したい。それら達成事項が今の自分から新たなレベルへと引き上げるのであれば、それらは自分にとって偉大な達成なのだ。

他人がどのように評価するのかはわからないのだ、しかし自分にとって気持ちの良いものであれば、それらは偉大な達成事項なのだ。

君の質問の趣旨はわかるよ。しかし私は世間の目に偉業と映ることを達成しようと考えたことはない。私はただ自分にとって抗いがたい、興味深くて満足感の得られる事にいつにおいても向かっただけなのだ。

だが、私が初めてギター界に足跡を残したと示したものは、"Attitude Song" に対する反応だったろう。それは80年代の Guitar Player 誌に付録されていたものだ。そして映画『Crossroads』が公開されると、活気に満ちたエンターテイメントに何がしかの貢献ができたと感じた。

これまでのキャリアでいくつもの傑作をリリースしていますが、自分の究極の作品と思うものはどれですか?

それは難しいな。私のオーケストラ作品アルバム『Sound Theories』を良い例に挙げておこう。あれにはファンが楽しめる曲の多くが収録されており、濃厚な作曲作品も含まれているからね。

(Part 2 に続く)