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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

20人のギターヒーローがジョー・サトリアーニの凄さと好きな曲を語る

ニューアルバム『The Elephants of Mars』の発売を記念して、Guitar Techniques 誌が20人の凄腕ギタリストに

1.サトリアーニはなぜユニークで優れているのか
2.お気に入りの曲

をアンケートした結果を掲載しました。

今週はこの20人の回答のうち15人分を和訳してみました。ギターヒーローたちのリスペクト溢れる回答に何度も頷いて、彼らの選んだサッチ曲を聴き返したくなります!

www.guitarworld.com

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スティーブ・ヴァイ

1.ジョーは内なる刺激的なメロディに繋がっており、音楽的耳とテクニックを備え、効果的かつ強力にそれを形にできる。

2."Cryin'" 非の打ち所の無いイントネーション、完璧に卓越したフレージング、そしてフィンガー・トーン。メロディは神の言葉が人を介して語られているかのようだ。


スティーヴ・モーズ

1.ジョーは優れたメロディ感覚と栄えるサウンドの刺激的直感を組み合わせるんだ、例えば右手のハンマリング、軽々と繰り出すハーモニクスやアーム技など。

2."Satch Boogie" あのテンポとフィールが好きなんだが、彼は素晴らしい仕事で曲を興味深く、延々と変化させている。半ばのブレイクダウンのパートを加えたのは、ラジオ局には(曲が長くなるので)好まれないものの、更なるお楽しみの追加だ。

 

スティーヴ・ルカサー

1.ジョーは楽器を手にした者の中で最も優れたギタープレイヤーだ。彼には非の打ち所がない。光栄にも俺は何度も隣でプレイする機会に恵まれたが、彼は決してミスをしないし、つまらないものなど弾かない。彼のプレイは常に世界トップクラスで楽しくて興味深いし、呆気にとられるようなテクは常にテイストを伴って繰り出される。

2.難しい質問だ。初めて "Surfing With The Alien" を聴いたときは圧倒された。実際にその同日にNAMMで彼に会った。友人になる運命だったんだ。"Ice 9" に "Summer Song" にいくらでも挙げられる、素晴らしい曲が大量にある。

彼は常に進化し、実験し、熱い楽曲に合う完璧なメロディを書く。彼が史上最も愛され、尊敬されるギタープレイヤーであることは疑う余地が無い、そして俺の親友でもある。

 

エリック・ジョンソン

1.ジョーは不変で尽きることのない熟達者でユニークなんだ。常に質の高いライブをやる。それに彼は燃え滾るプレイとソフトな時を上手く混ぜるんだ。

2."Always With Me, Always With You" あの曲はただただ美しい。

 

マーティ・フリードマン

1.ジョーは素晴らしいギタリストというだけでなく、とらえ難いアルゴリズムの達人でもある。彼のプレイは熟練したプロに感銘を与えるだけでなく、ギターを弾いたことのない人々にも刺激的で興奮させる。

2."Always With Me, Always With You" 僕のエモーショナルなバラードが好きなオーディエンスに向けた曲のようだけど、もっとずっと多くのオーディエンスの心に届く。ジョーは、無意識のうちにオーディエンスが優れたギタープレイを理解し渇望するように育てる、質の高いギタープレイをする方法を心得ている。

 

ポール・ギルバート

1.ジョーにはとびきりデカいサウンドがある。どうやったらあんなにデカくなるのかわからないよ、素晴らしい!それに、それがオーディエンスを感動させるんだ。僕もあんなデカイのが欲しいんだけど、僕のサウンドは小さくなってきてる。ジョーとツアーできた後、僕のサウンドも少し大きくなったんだ。もっとジョーと一緒にすごさないといけないな。

2.初めて聴いたのは "Satch Boogie" だ。それはもう、「車を停めて聴かなくちゃ」って瞬間だった。この曲は今も僕のお気に入りだ。なぜって、そもそも僕はブギーが好きだ。2つ目に、ジョーはプレイで物語を伝えてくれる。パートは巧みに作曲されていて、その一方で大方のプレイヤーがインスピレーションに満ちたときにのみ繰り出せる即興の炎を灯し続けるんだ。

 

レブ・ビーチ

1.スティーブ・ヴァイを教えた男がヴィレッジでプレイしてるって知ったとき、俺は Atlantic Records のセッションプレイヤーだった。俺は何も期待せずにそのライブに行った。2つの点でぶっ飛ばされたよ。とんでもなく正確なプレイと、テクの知識が半端ないってことでさ。教則本に書いてあるあらゆるテクを使ってた、レガートなんてもう最高だ!完璧なんだよ、しかもロックしてるんだ!

2."Lords of Karma" だ。リディアンは俺のお気に入りのスケールだ。でもリディアン・スケールのロック曲なんて聴いたことなかった!ライブで際立ってたよ、オーディエンスは狂喜してた。とてもユニークでクールなんだ、その上ソロは魔法がかってる。

 

アンディ・ティモンズ

1.ジョーが他者より抜きんでているのは、優れた作曲能力によるものだ。彼はもちろん、信じがたい程のテクニックでプレイし、正確さと自由奔放さとの絶妙なバランスを保つことができる。更にそれをとてつもなくキャッチーなリフとメロディで共に包むことができるのさ。僕が最大の影響を受けたプレイヤーの1人だ。

2.好きな曲なんてあり過ぎて選べないよ!でも全てを備えているってことで "Unstoppable Momentum" を挙げよう。至高のメロディ、巧な変調、ユニークなトーン、素晴らしいサウンド、それに僕は大のヴィニー・カリウタ(本曲のドラマー)ファンだからね!

 

ジョエル・ホークストラ

1.ジョーは素晴らしいメロディと曲を書く。テクニックを見せびらかすだけとは違う。

2."Midnight" とても音楽的で個性的なタッピング演奏の曲だ。

 

ジェフ・コールマン

1.彼の曲は常にキャッチーで歌詞なんて不要なんだ。ギターメロディがボーカルだ。そしてインストゥルメンタルのギター・シングルがラジオで掛かることなんてめったにない。

2.ライブ盤の『Dreaming #11』の "Hordes of Locusts" だ。生々しいライブの3ピース・バンドのサウンドと太いグルーヴが好きだ。更にハーモニー的には少々複雑だ。

 

マティアス・エルクンド

1.彼のトーンはとてつもなく特徴的で、一瞬で彼だとわかる。でもそれにも増して彼のメロディ・センスは紛れもない。多くのプレイヤーは思い切りクレイジーに速弾きすることはできる。けれど、ジョーがするように至高の美しいメロディを書いて演奏できる者は稀だ。

2.初期のアルバムはほぼ全て聴きこんでいて、心の中に特別の場所がある。でも最もお気に入りのアルバムを挙げるとしたら、1995年のセルフ・タイトル・アルバムで、曲は "Cool #9" だ。グリン・ジョンズはプロデューサーとして素晴らしい仕事をした。的を得ていてとても自然で、大好きだ。

 

ガス G.

1.彼のフレージング、メロディ、トーン。最初の1音を聴けば彼だとわかるギタリストだ。そして彼の作曲技術ときたら、それ自体が独自の教材だ。ジョーは一般大衆にアピールするインストゥルメンタル音楽を書ける。それができるプレイヤーは僅かしかいない。

2.沢山好きで1つを選べない。"Ice 9" "The Crush Of Love" "War" "Flying In A Blue Dream" 挙げればきりがないんだ。

 

ニック・ジョンストン

1.ジョーのレコードを沢山聴きながら成長したんだ。常に際立っているのがメロディとハーモニーを重視していることだ。『Engines of Creation』にしろ、 Chickenfoot にしろ、アコースティック楽器やボーカル使いで、彼が多くの実験的音楽を発表しているのも好きなんだ。彼は常に彼の芸術世界を拡大しようとしている。

僕は彼の足跡に習って芸術性を第一にし、オーディエンスが期待するものを後ろ回しにしてきた。彼の自制心を尊敬している。ジョーは激しいプレイができるけれど、しばしばフレーズやラインを楽曲を引き立てるためにプレイする、ギタリストのリスナー向けにではなく。

2.好きな曲はよく変わるけれど、大抵は『The Extremist』の "Friends" に立ち戻る。メロディ、アレンジ、ギタートーン、パフォーマンスもプロダクションも完璧だ。このアルバム全体が彼の傑作だと思う。

メロディをギターでオクターブ高く作曲し、曲に上手くフィットするだけでなく、アイコニックかつ一瞬でその曲だと認識させるのは人々が考えるよりもずっと難しい。

 

ブレット・ガースト

1.ジョーの異世界レベルの演奏技術を別にして、彼を他者から突出させるものは作曲力だ。彼がポップ・ロックのフォーマットを高度なインストゥルメンタル音楽に当てはめるやり方が大好きだ。彼の曲はいつも信じがたい程に強力なフックがある、例え彼がエキゾチックなスケールを使っているときでもね。

2.初めて聴いたジョーの曲 "Not Of This Earth" だ。イントロのコードがダークなサウンドとムードだったから、曲は C#m だと思ったら、ベースがEで入って来てひっくり返すんだ。直ぐにファンになった。こういう予想外の展開が偉大な作曲家を定義するのだと思う。ジョーの曲は全てそうだ。


カール・ヴァーヘイエン

1.ロック・ギターのプレイ技術と近代の技がとてつもない一方で、ブルースとの深い繋がりがある。現代の速弾きプレイヤーの多くに欠けている要素だ。

2.Chickenfoot のファンなんだ。ジョーのリズムはとても確かでドラマーのチャド・スミスとの演奏を聴くのは大好きだ。ロックした8分音符を1日中プレイできるのが彼らで、それを聴ければハッピーだ。ライブ版の "Highway Star" を聴いてみるといい。

 

 



スティーブ・ヴァイが Whitesnake のステージで "Still Of The Night" を共演!

遂に歴史が動きました!生きていると感激の瞬間を目撃できるものですね。(涙)

6月23日(現地時間)フランスで開催された野外フェス Hellfest のメインステージ準ヘッドライナーだった Whitesnake のステージ終盤、"Still Of The Night" 演奏中にスティーブ・ヴァイが参加し、32年ぶりの共演が実現しました。

 

先月アップしたブログ内で、これが実現することを確信しておりましたが、実際の映像を観るまでは祈るような気持ちでこの瞬間を待っていました。

staytogether.hateblo.jp

先生の登場がクロージングの "Still Of The Night" で、しかもギターソロからの登場とは、カヴァ様ったらサプライズを最後に取っておいたのでしょうか。

"Hellfest, Once a snake, always a f**king snake. Ladies and gentleman, boys and girls, the seven string sorcerer, Mr.Steve Vai!"

「ヘルフェスト、一度スネイクだった者はいつまでもスネイクだ。7弦の魔術師、ミスター・スティーブ・ヴァイ!」

1990年のドニントン・ライブを思い起こすフレーズで紹介されて登場したヴァイ先生、あの名曲のギターソロを独自のヴァイ風味で演奏。先生のジェスチャーから、恐らく音が聴こえにくく演奏し辛かったのでしょうが、ソロ後に戻ったカヴァ様が肩をまわしてのツーショットに胸が熱くなります。

「7弦の魔術師」の紹介だったのに、先生が弾いているのは事前に予想された Universe のプロトタイプで Slip of the Tongue ツアー後にカヴァ様へプレゼントされた個体でも、現在のヴァイ先生ツアーで使っているドニントンのライブで使用された Glissando でもなく、6弦JEMの XAVIA というのはどうしてなん?と言いたくなりますが、カヴァ様とのツーショットを見れただけで、もう欲張りなことは言いません。

バンドの方に戻り、ジョエルと並んでプレイする先生。ジョエルがこの瞬間をこの上なく幸せに感じているのが彼の表情からわかります。憧れの先輩との共演が叶って良かったね。ジョエルとヴァイ先生の交流については、彼から時折聞いていたので、こんな日が来たのかと、こっちも胸熱です。

トミーとハイタッチするヴァイ先生、そしてメンバーが集まり観客へのバウ。カヴァ様、先生、トミーの並んだ姿にまたまた熱いものがこみ上げるのでした。

ライブ後、バックステージでのカヴァ様とヴァイ先生のハグ写真も公開されました。先生が手に持っているショットグラスにはカヴァ様が注いだウィスキーが入っているのかな?2人で思い出話に花が咲いたのでしょうか?

翌日にはヴァイ先生からのコメントが出ました。そこにはジョエルが返信も付けていました。

 
 
 
 
 
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ヴァイ先生コメント訳

デヴィッド・カヴァーデイルの招きにより Hellfest で Whitesnake のライブ最終曲 "Still Of The Night" に加わったのはこの上ない光栄だった。
この偉大なるバンドに最後にもう一度貢献できたことが喜ばしい。このバンドは私のキャリアにとって不可欠の重要なものなのだから。再びステージでデヴィッドのエネルギーを感じ、トミー・アルドリッジのビートを感じ、そして遂に友人であるジョエル・ホークストラ、そして他のスネイクスと共に4万5千人の前でジャムできたことはシビれるような体験だった。皆に深く感謝している。

ジョエル返信訳

ティーブ、もう一度言います、ありがとう!!!あなたとデヴィッドが再び一緒の姿を見たのはとても感動的だった。あなたは素晴らしいミュージシャンであり、人としてもそうだ。あなたはインスピレーションの源だ。

それにしても、こんな日が再びやって来るとは、過去を思い返すと感慨深いものがあります。

カヴァ様とヴァイ先生はずっと疎遠だったのでしょうし、ヴァイ先生が Whitesnake 時代のことを話すことは余りありませんでした。でも2015年にはあの時代を振り返ってメンバーを懐かしんでいました。

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カヴァ様も『Purple Album』を制作する少し前くらいには過去に仕事をした人々と連絡を取って前向きな人間関係を目指したのでしたよね。ヴァイ先生と再び繋がったのはその頃でしょうか。

2016年5月25日には、共にライブに向けてリハーサルをしていた Whitesnake とヴァイ先生ご一行のスタジオが隣同士だったことから、カヴァ様とヴァイ先生のツーショットが実現しています。

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2019年には『Slip of the Tongue』発売30周年にヴァイ先生から心温まるコメントが出ています。

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コロナ禍の2020年にはドニントンライブ30周年で、当時のメンバーがオンラインで集う楽しい集まりも開催されました。

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昨年にはカヴァ様がフェアウェル・ツアーでヴァイ先生と共演したいという発言がありました。

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両者のツアー日程が上手く合致しないと実現は難しかったのでしょうが、それが完璧に合うタイミングが合って本当に実現して、感無量です。

 

スティーブ・ヴァイ & ジョー・サトリアーニ 「ギターなんてもう人気が無い」と言われると腹が立つ、気は確か?

Classic Rock magazine 300号の記念で組まれた対談にヴァイ先生&サッチが登場。zoomで行われた取材です。2人の対談は大好物なので、今週はこれを全訳しました。

www.loudersound.com

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あなた方が実際に同じ部屋に揃ったのはいつが最後でした?

Joe Satriani:2020年の1月にNAMMで一緒にステージに上がったよ。

Steve Vai:それから、君とルビーナ(サッチの奥様)とでロックダウンの合間にこっちに来ただろう、一緒にディナーに出かけた。でもステージで一緒だったのはNAMMが最後だね。

JS:そうだった。最近、マイアミの画廊を展示会で訪れたんだけど、人と会って握手をするって感覚を思い出したよ。「ああそうだ、こうしてたんだった!」って。

(訳者注:サッチはロックダウン中、本格的に油彩画に取り組み、作品の展示販売会を米国各地のアートギャラリーで開催中)

SV:この前、Dream Theater を観に行ったんだ。この数年で初めて行ったコンサートで、素晴らしかったよ。私も同様に感じた感覚だ、ヴァイブや観客たち、懐かしかったね。

同時期にニューアルバムがリリースされましたが、これは計画していたのですか?

JS:私たちは可能なら何かと申し合わせるのが好きでね、やってることを正当化する感じさ。なぜなら私たちがやってることは業界の主流とは余りに異なっているから。

私たちはそれぞれの小さな世界で自分の芸術を追求しているんだ。リリース前にお互いにアルバムを送り合うと、とても興奮したよ、「よし、一緒にやろう!」とね。その方がより強いインパクトを起こせる、ポップとヒップポップの大海にたった1枚を投げ入れるよりも。

SV:ああ、子供の頃から計画してたのさ、「なあ、音楽業界が1方向に向いてしまったら…」

JS:「違うことしようぜ!」

SV:でもいいことさ、それによって底流にあるこのテのタイプの音楽をまだ愛しているギタープレイヤーたちへの認知が勢いづくだろう。私たちは自分たちの音楽が好きだし、このテの音楽に強く反応する幾多の人々が存在する。だから、私たち2人がリリースすれば、数の力が加わり、プラスに働く。

ジョー、スティーブの『Inviolate』でお気に入りは?

JS:最初の "Teeth Of The Hydra" だ。ドラマチックに始まるところが好きだね、そしてドンと引き込まれるんだ。その果敢さには驚かないよ、だってスティーブだからね。私は彼がそうしてきたところを沢山見てきた。でもそれを今どきのアルバムでやるっていうのは実に大胆だ。そしてとても美しい曲だ。

ティーブはジョーの『The Elephants Of Mars』はどうでした?

SV:ジョーと私は人生を通して親しい関係が続いてきた。もし彼の様に、何か心から愛するものを見つけ、人生を捧げたなら、どこまででも深く深く進むだろう。

このアルバムを聴くと、明らかにこれは進化だとわかる、メロディ的に、その深み、パフォーマンスもだ。"Sailing The Seas Of Ganymede" はとてつもなく力強い。私は予想を覆されるのが好きなんだが、これは全てがそうだ。「これ以上どんなトーンを思い付ける?」と思うだろう。

しかし、更に別のトーンが登場するんだ。自らのしている事において進化する能力は、その物事への関心度の高さを直接反映する。だから、一切の言い訳なしに全力で取り組むのだ。私は12歳のときにそれをジョーの内面に発見した。そういえば、君のレッスンの記録全てを見つけたって言ったかな?

JS:いや。本当に?

SV:屋根裏を整理してて、最初のストラトのケースを発見したんだ。開けたら、練習記録ノートの束と3年分の私たちのレッスン記録があったんだ。見返していたら、全ての始まりの言葉を見つけたのさ。ノートの1つでジョーが書いたものさ、「指板上の音がわからないなんてのはクソだ!」って。

staytogether.hateblo.jp

JS:清潔な授業にしようとしてたのさ。(笑)

お二人はカール・プレース高校でしたよね、ジョーは Tarsus というバンドをやっていて。

SV:Tarsus の凄かったところは、少しばかり次世代に進んでいたところで、私と友人は彼らになりたいと思っていた。演奏が上手くて、サウンドも良かった。

Classic Rock 誌が発行された頃から世界は大きく変わりました。YouTubeInstagram で多数のフォロワーがいながら、実際のライブ演奏を一度もしたことのないギタープレーヤーについてどう思いますか?

SV:誰にでも居場所はあるものさ。我々は成功とは銀行預金の残高やアルバムセールスやグラミー賞の受賞だと思い込んできた。しかし、実際のところ、部屋で座って好きな楽器を演奏する腕があるということが最も「熟練した」アーティストが体験できる成功の感覚なのかも知れない。

JS:スマホに向けて演奏できる能力には驚かされるよ。やってみたけど、私にはない能力だ。@fernplants みたいなギタリストがシリアルを食べる合間にスマホの前で毎日最も複雑な演奏をしているのを見ると嫉妬を感じるよ。恐らく私の育った場所と時代のせいだろうね。

私はオーディエンスの前に出ると、例え5人でも5千人でも、突然スイッチが入るんだ。なぜだかわからないけれど。そのおかげで私の技術や才能不足や極度のシャイな性格でもやってこれたんだ。

でもSNSで最も興奮することは、若く才能豊かなギタープレイヤー、又全ての楽器演奏者が沢山いることだ。多くのプレイヤーが6弦、7弦、更には10弦に至るまで、驚異的なプレイをしているなんて、歴史上なかったことだ。

「ギターなんてもう人気が無い」と言われると腹が立つよ。気は確か?若者たちが今、歴史を作っているんだ。(そんなことを言うなんて)時代に追いついていないだけだ。50年、100年前の目線でギタープレイヤーを語るなんてもってのほかだ。過去のプレイヤーは今の彼らの先進さの足元にも及ばない。

それは今のプレイヤーのスタート地点のせいでは?彼らが初めてギターを手にしたとき、あなたがた2人がベンチマークだとしたら、彼らの楽器に対する期待は高くなるのでは?

JS:スティーブ、全部君のせいだって言ってるよ。(笑)私の持論は「レニー・クラヴィッツ・スケール」というのだけど、レニーは全てに優れている。外見も、プレイも、歌も、ヒット曲も書ける、設計デザイナーであり、素晴らしい家族がいる。私がPR活動をしなきゃならないときはいつもこう思うんだ。「ここでどれくらいレニー・スケールを登れるかな?」

でもスティーブの『Passion And Warfare』が出たとき、彼も全て備わっていた。新しいギター、外見、突出した演奏と曲。つまり、これは全て君の責任だ。君がこのラウドな、スタート地点の高い世代の若者たちを生み出したんだ!

SV:(笑)私の先生(=サッチ)を責めるべきだよ。それ以来いくつかのパラダイム・シフト(大変革)が起こった。それはあらゆる異なる分野、ビジネスでもアートでも起こる。モノリスが現れて、皆が更なる道具を持って集まるんだ。グランジが席巻すると、奏力の高さは伴わなかったが、トーンとリズム・プレイに進展があった。そして2000年頃には7弦が登場した。

ジョーが言ったように、楽器の可能性を拡大するのに魅せられた人々のサブカルチャーが存在する。彼らはこう言うのさ、「ふーん、よし。それがヴァイかサトリアーニか、マルムスティーンか誰かがやっていたことだな。つまりこれが僕の出発点だ」

これは私たちもやったことだ。ジョーは正しい。インターネットの出現でこの拡大成長する現象を目撃することができる。目が離せないね。(彼らの最初の)足掛かりになれて光栄だ。

あなた方はまだ音楽雑誌を読みますか?

SV:自分が雑誌に載っているのを見るとまだワクワクするよ。出かけて手にしたりはしないが、デスクに届いたり、画面で見る。私たちは2人とも70年代に十代を過ごしたから、クラシック・ロックのバンドは皆私たちの中で脈打っているのさ。その音楽は私たちに染み込んでいるから、このように載っているのを見るのは嬉しいね。

JS:この数ヶ月かは Led Zeppelin のライブ盤を1日何時間も聴いていた。ジミー・ペイジがどんなに偉大か信じられないほどさ。そしてバンドも素晴らしい。今ではストリームで聴けるライブ盤が多数あって、それらは私たちが子供の頃にマジソン・スクエア・ガーデンで聴いたよりも良い音なんだ。

大胆な即興技、オーディエンスはそれを渇望している、そんなのはもうお目に掛かれない。バンドはただステージに上がり、その場でカマすんだ!スティーブが言ったように、クラシック・ロックのその部分は私の中に植え込まれていて、今も共鳴するんだ。

このジャンルの雑誌の表紙は好きだよ。もしジミー・ペイジのツアー毎ショウでの即興についてインタビューができたら、首ったけになって読むよ。

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来年のG3共演は実現するのでしょうか?久しぶりに観たいよ~!

 

スティーブ・ヴァイ Inviolate ツアー開始!

遂にヴァイ先生のソロツアーとしては2017年6月で最後を迎えた Passion And Warefare 25周年ツアー以来、実に5年ぶりとなる Inviolate ツアーがイギリスのグラスゴーを皮切りに始まりました!

事前に先生から欧州ツアーには Hydra は持って行かないとアナウンスがあり、ツアーと同時に米国で開催されたNAMMショウの Ibanez ブースに Hydra 実器が展示されましたので、"Teeth Of The Hydra" は演奏しないことはわかっていましたが、世界を強力に周るツアーはこれで最後と先生が言っていたこともあり、セットリスト入りする過去曲がどうなるのかも気になります。

勝手に注目ポイント

1.ライブ使用ギター
2.Knappsack は片腕で弾く?
3.セットリスト
4.特殊な衣装はある?

初日公演以降、写真や動画、フル音源なども投稿されてきて、ライブの全体像が見えてきました。今週はそれをまとめてみます。

 

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勝手に注目ポイントの結果

セットリスト & 使用ギター

01 Intro == BO
02 Avalancha == BO
03 Giant Balls Of Gold == PIA Onyx
04 Little Pretty == Ibanez AF200
05 Band Intros
06 Tender Surrender == EVO 
07 Lights Are On == ?
08 Candle Power == JEM77 "EMY"
09 Dave solo
10 Building The Church == FLOⅢ
11 Greenish Blues == JEM 
12 Bad Horsie == PIA "Envy"
13 I'm Becoming == JEM
14 Sandman Cloud Mist == JEM
15 Dyin' Day == EVO
16 Drum solo
17 Zeus In Chains == Universe "Glissando" / "Bruno"
18 Liberty == PIA Onyx
19 For The Love Of God == PIA Onyx / JEM
20 Fire Garden Suite IV - Taurus Bulba == JEM

(セトリは6/5 マンチェスター公演。JEMはEVO, FLOⅢ, XAVIA他なのか不明のとき。公演地によって使用ギターが違うことも)

ロンドン公演では "Whispering A Prayer" もやった模様。

セットリスト

『inviolate』からの曲が6曲と多め。"Knappsack" が入らなかったのは意外でしたが、オーディエンスが望む片手弾きをライブでするにはミュート問題があったのでしょうか。

意外にもセトリ入りした曲としては、久しぶりの "Giant Balls Of Gold"、『Modern Primitive』からの "Lights Are On"!『Modern Primitive』からがアリなら、"Dark Matter" "And We Are One" が聴きたい!

"I'm Becoming" はサプライズ。スクリーンで胎児が成長する様子、誕生してリトル・スティーブになるという演出が粋でした。

 

"Dyin' Day" は初ライブ演奏曲。実はこの曲がセトリ入りを果たした裏には、ヴァイ先生とギタリスト向けチャンネルを運営するタイラー・ラーソンさんの約束がありました。21年のインタビュー時の約束をこうしてツアーで果たすヴァイ先生、カッコイイわ!

「"Dyin' Day" についてありがとう。あれはライブでやったことのない曲だ。レコーディング時に1度だけ弾いた曲だ。でも次のツアーでは君のためにプレイしよう」

と以前の発言を確認するとグッと来てしまいます。(下の過去記事参照)

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SNSに投稿された多数の動画をチェックしたところ、今回のツアーでは特殊な衣装は見当たりません。"Ultra Zone" 時の衣装など、ヴァイ先生の過去ツアーではエンタメ性のある衣装でも楽しませてくれていましたが、今回はオーケストラ曲のレコーディングがツアー前に行われるなど、時間がなかったのかも知れませんね。

使用ギター

大方の予想通り、オープニング曲は "Avalancha" で指板にLEDが点灯する鏡張りのBOがステージを引き立てていました。"Bad Horsie" はPIAの Envy Green を改造した "Envy" でしたが、指板にLEDが仕込まれていたのには驚きました。

一番のサプライズは Whitesnake Live at Donington ライブ映像でもお馴染みのミラーボール・ボディの Universe "Glissando" が登場していること!これまでのツアーでは7弦が必要な場合大抵は、"Bruno" でしたが、今回はサプライズ登場!(公演地によっては "Bruno" 登板もあり)

 

勝手な想像ですが、これも6月23日に Hellfest で Whitesnake のステージに飛び入り参加する為ではないでしょうか。以前のブログに書いたとおり、カヴァ様がヴァイ先生から譲り受けた当時の Universe を準備していたとしても、先生が当日触って感触がしっくりくるかどうかは不明ですから、先生としてはツアーでも使って慣れておいた "Glissando" を選択するのかも。このギターなら Whitesnake 時代を象徴するものがありますから、カヴァ様とのリユニオンが叶ったときに映えますよね。あー、ワクワクする!

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ツアー2日目のマンチェスター公演のフル音源を聴いたところ、ソロでは5年ぶりのツアーですし、バンドのリハーサル後1ヶ月空いていますので、先生の手元が若干狂ってやり直しをする場面もあったようですが、ツアーを重ねていけば解消されるものと思います。

早く日本にも来て欲しいですね。

 

アンディ・ティモンズ 「ギターの不完全な能力をどう補うのか、自分の手が覚えるんだ」

アンディが Dallas International Guitar Festival (5/5~7)の1週間前にかなりディープなインタビューを受けていました。大変長いインタビューで、今までに聞いたことのない話もしていて驚きました。

 

今週は楽しく、またヘヴィだったアンディの話の一部をまとめてみました。

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ATB Plays Sgt. Pepper』について

僕の趣味のように何年もアレンジに取り組んでいて、最初はアルバムにするとは思っていなかった。実際、『Theme From A Perfect World』に入ることになる曲をレコーディングしていたときだ、ドラマーのミッチ・マリンが「Beatles の曲をレコーディングしたら?」と言ったのさ。それで急遽2日でリズムトラックを録ったんだよ。

でも "Strawberry Fields Forever" なんかは自分のアレンジをチューニングを保ってプレイするのが難しかった。開放弦とハイフレットの音が多いから、チューニングとプレイを妥協しなくちゃいけなかった。GOTOチューナーやら、色んなギターやゆがんだフレット(恐らく True Temperament ?)やらいろいろ試したよ。結果的にはギターの不完全な能力をどう補うのか、自分の手が覚えるんだ。

このアルバムをポールやリンゴが聴いたかどうかはわからないけど、リンゴの手にCDが渡っているかもね。White Album をレコーディングしたエンジニアのケン・スコットにはNAMMショウで会ったときにCDを渡したんだ。

後に彼の自伝本が出てから Beatles のコンベンションで僕の友人が僕へのサイン本を彼に頼むと「君のアルバム良かったよ」と書いてくれたから、もしかしたらメンバーが聴いてるかも知れないと思ったのさ。(笑)ポールなら "She's Leaving Home" を気に入ると思う。凄く難しかった曲だ。

僕はルカサーと仲が良くてね、ルークはアルバムを凄く気に入って、それは素晴らしい賛辞の並んだメールをくれたんだ。一生の宝物だよ。

アルバムは全く商業目的のものではなかった。あれはルークのような僕の兄貴分の人たちに向けたもので、僕がやっていることを示したかったんだ。僕のヒーローたちに感心して欲しかった。結果的にアルバムとして良い評判が得られて嬉しかったよ。

トミー・エマニュエル

彼とは何年ものうちに親しくなって、5年前かな、彼がダラスでクリスマスのショウをやるとき僕を招待してくれたんだ。サウンドチェックに呼んでくれて、「アンディ、ここに来い。ここに立って聴いてみろ!」と。(トミーのモノマネで語るアンディ)

それで、その場所でトミーの演奏を聴いたら、それは生涯で聴いた中で最高のサウンドだった。「指にオートチューニングが付いてるみたいだ!」って僕は叫んでたよ。彼は「君もな!」と返してくれた。チューニングを保ってプレイするというのは生涯を通じての探求なんだ。

トミーと初めて同じショウでプレイしたのはイタリアであったブルース・フェスティバルだった。ヘッドライナーは Deep Purpleスティーヴ・モーズがいたよ。ペストリア・ブルース・フェスティバルだ。

トミーがオープニングで、僕はトミーの次にプレイしなきゃならなかった。僕には(アコギのトミーと違って)トリオのバンドがいるし、パワーアンプもある、けどトミーに続いてプレイするのは嫌だよ!(笑)

トミーの素晴らしい演奏に続いた僕のバンドが "Strawberry Fields Forever" のイントロをプレイし始めたときだ、トミーがモニターボードの前に座って聴いているんだよ。そしてベースのマイクのアンプの奥を見たら、そこにはスティーヴ・モーズがいるんだ。あの2人にチェックされてて緊張したよ!(笑)

職業病

この職業においてはドラッグとアルコールは大きな問題だね。この仕事では移動が多く、90分のショウのためにエネルギーを高めなくちゃならない。そしてショウが終わり、高まったエネルギーを消化するのに飲み物が必要だったりする。

僕にとってそれらは問題ではなかった。僕の問題となったのは処方薬だ。国際線での移動が多く、時差ボケの悩みがあれば、この薬で眠れるからと渡される。僕は酷い背中の痛みを抱えていて、すると痛み止めを渡される。不安症があれば、この薬があるという風に。

そうして自分では知らないうちにそれら薬剤の全てに依存していたんだ。それらと飲料の組み合わせでね、話題になったオピオイドの問題そのものさ。

2011年には聴覚の問題を抱えた。ずっと耳鳴りを抱えていたのだけど、診断は聴覚過敏というものだった。これは大きな音に敏感になるというもので、ロックのミュージシャンというのは最悪の職業だよね。

基本的には回復の見込みがないんだ。僕は音楽を楽しむことができなかった。そうして遂にある決断をしなくてはならない地点に来ていた。全ての薬を断って、リハビリをするというもの。

リハビリは脳のトレーニングで、耳鳴りを意識しないようにするものだ。これはとても大変だったよ、それに自分で全ての薬をやめるんだ。特に不安症の薬は辛かった。でも聴覚過敏は治ったんだ。僕の身体がこれを止めなくては死ぬぞ、と言っていたんだと思う。とても辛い時期だったけれど、克服できて幸運だったと思う。

今後の予定

StageIt (ライブストリーミング・ショウ)は予定が空いていれば続けていくよ。6月にはUKに行くし、その後ギターキャンプもある。それ以降にツアーの可能性もある。

僕のニューアルバムのことを皆はパンデミック期間中にできたアルバムだと思っているけれど、あれは2020年のパンデミック直前にレコーディングしたものだ。その後少しオーバーダブをしていたけれどね。この数年で沢山の作品を書いているんだ、そのうちの何曲かはソロのエレクトリック・ギター曲だ。それらでアルバムを創るつもりだよ。

エルビス・コステロの楽曲をインスト・ギターでカバーしたら良さそうな曲のリストもあるんだ。どう創ろうか考えているところで、タイトル案もある。

僕は何か1つのジャンルに拘ることなく、色々な音楽をやってきたのが良かったよ。Danger Danger のファンは気に入るだろうか? "Electric Gypsy" 好きのファンは気に入るだろうか?ということは考えず、今自分の心に大切に思うことをやってきた。自分にとって真に正統と思えるものを追求するんだ。

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2011年といえば、『ATB Plays Sgt. Pepper』リリースの頃。まさかアンディがそんな病を抱えていたとは知りませんでした。元気になって本当に良かった。

アンディの話を知って、親近感を持ったので自分のことを書きます。

何年も前のことですが、原因不明の後頚部の痛みと入眠困難を抱えてずっと薬に頼っていたことがあります。依存とは感じていませんでしたが、心配した家族に言われて薬を断ちました。

そんな辛い時期の支えとして私がやったことは、このブログを書き続けたこと。(その過程でVAI説法に出会えました)ギターを弾いたこと。(数年で挫折、笑)ランニングを続けたこと。何が良かったのかは分かりませんが、健康を取り戻せて良かったです。

身体も心も健康が一番大切ですよね、健康第一でやっていきましょう。

ジョー・サトリアーニ & ガス G. 「90年代はアンチ・ギターの時代と思われているけれど、実はギター復活の始まり」

ニューアルバム『The Elephants of Mars』のプロモーションで多数のインタビューに応じているジョー・サトリアーニが、何とガス G. のYouTube チャンネルに登場しました。

ガスは自身初のインストギター・アルバム『Quantum Leap』を昨年リリースして好評を得ています。アルバムにはサッチの影響を感じるメロディックな良曲もあり、この対談は興味深い顔合わせです。

対談は Part 1 と Part 2 に分かれていますが、Part 1 ではギタリスト同士でギア関連の話(バンドでプレイするときとインストバンドでプレイするときのギアの違いなど)に花が咲いていました。

Part 2 ではサッチのキャリアがギター界にもたらした影響などについて語られており、改めてサッチが切り開いた道が後のギターヒーロー達へ繋がっているのだと感じました。今週はその一部を和訳しました。

 

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Gus G: 次はファン質問みたいなんだけど、ずっと知りたかったことを。『Surfing With The Alien』のことで、確かあなたの自伝で読んだと思うけど、曲を冬季オリンピックにライセンスしてそこから人気に火がついたの?

(訳者注:サッチの自伝『Strange Beautiful Music』では当時のレーベル担当であったクリフ・カルトレリ氏の回想で冬季オリンピック放送時の Surfing アルバム大量使用の影響でラジオ局が追随してきたという話があります。ガスは本を読んでいる模様)

Joe Satriani: いや、実際には米国内の何人かのDJがクレイジーなほどアルバムをオンエアしてくれたからなんだ。ニューヨーク、テキサス、シカゴ、ロスで、彼らはただアルバムを気に入ってくれた。

88年にあのツアーを始めたときには、400席くらいの小さなクラブで1晩に2セットをプレイしてた。厳しかったよ。最初の2週間は余り上手く行かなかった。

でもミック・ジャガーリードギターのギグが入ると、急にローリング・ストーン誌なんかにミックのリードギタリストとして記事が載って、このギタリストは最近アルバムを出しているって紹介されたんだ。これも Surfing アルバムの大きな後押しになったね。

GG: ミックのツアーはいつ?

JS: 88年だ。2~3月と9月末から11月始めまで。ツアーの間に、私がソロでプレイする会場がクラブから小劇場に変わったんだよ。ともかくミックの件はビッグで、彼も可能な限り私を宣伝してくれた。とても寛大な人だよ。

米国でのラジオによるサポートとその後英国への波及は大きい要因だった。まだヒップホップが台頭してくる前だったしね。

GG: 当時はまだ(ギター)ソロがクールな時代だったでしょう?

JS: ああ、そうだね。(笑)成功へ至る道というものは決して同じ繰り返しはないんだ、だからそれを受け入れて、起こったことを楽しむ他ない。

GG: 『Surfing With The Alien』によって、ギタープレイヤーそしてギター音楽にとって全く新たな道が開けた。ギターがクールだった時代から、90年代になって、もうギターソロは弾けなくなった時代があったけれど、今はギター・ミュージックにとって再びとてもエキサイティングな時代だと思うんだ。

JS: ああ、その通りだね。大切だと思うのは、90年代の半ばに私はG3を始めたのだけど、私はオーディエンスは実はギターソロを聴きたいのだと確信していたんだ。ただ異なる形式で体験したかったのだよ。
私が思ったのは、ギタープレイヤーがガンマンの役まわりを辞めて、共に毎晩集まり、技をシェアして、オーディエンスとギターを祝福するんだ。どぎついショウを押し付けるのではなく、共に祝うのさ。

皆を説得するのに時間はかかったけれど、始めてみればオーディエンスは大歓迎してくれた。だから、90年代はアンチ・ギターの時代と思われているけれど、実はギター復活の始まりで、G3のようなものが生まれたのさ。

GG: わかるよ。初めてG3を見たときは衝撃だった。そしてこれもまた、あなたの達成事項というかトレードマークというか、今では多くの人がその形式を真似て、独自のG3のようなものをやっている。今の流行りのようになっていて、3人くらいが集まればギターの祭典をやろうって。

今のギターそしてギター・ミュージックについてどう思います?デジタルの時代になって、ビジネスは変わりました。フォーマットが変わり、新たなプラットフォームが台頭しています。

JS: 長らく私たちはヒップホップとポップスが主流を占める音楽界にいる。それはいいんだ、流行りの音楽は変化し続け社会も変化し続ける。

そんな中で、多くのギタリストが活動して、ギターの歴史上成し得られなかったことを達成しているんだ。6弦から7・8・10弦のギターまでが驚くほど強烈にプレイされている。

衝撃を受けるよ。かつての世代のギターヒーローたちは現在のシーンにとても対抗できないだろうね。全く新たな世界だ。彼らは小さなギタープレイヤーのグループで、Animals As Leaders を表紙にするような、2、3のギター雑誌の助力しか受けずにやっている。

80年代後半とは違う状況だ。パワートリオが活躍した60年代後半とも違う。ヘンドリックス、ペイジ、クラプトン、ベックの時代とは違う世界なんだ。

巧妙さ、スピード、複雑さ、それに作曲も複雑になっている。実に魅力的だし、目を見張るものがあり、刺激を受けるよ。私ではあのレベルのテクニックにはたどり着けないけれど、とてもインスパイアされるよ。立ち戻ってもっと真剣に練習したくなる。

GG: 俺もインスタやYouTubeで若者のプレイを見て、もっと練習しなくちゃと思う。どうプレイしてるのかわからないけど、少なくとも刺激は受けるよ。

JS: ああ、だから彼らをサポートするんだ。彼らはスマホの前に座って孤立しているんだ、彼らを全国TV放送で観ることはないし、彼らがドレイク(カナダ出身のラッパー)みたいな再生回数を得ることもない。彼らはどこか遠いところにいるんだ。だから「ヘイ、ガス G. だ。凄いプレイだな」と言えば彼らはとても嬉しいだろう。これだけでも支えになるよ。

GG: そうだね。それに今はそれぞれのプラットフォームがあって、何でもできる。ハード・ロックの世界ではレコードレーベルなんていうものはもはや存在しないんだから。雑誌だって世界に2、3誌が残ってるだけだ。

今ではインストゥルメンタル音楽を創ることはヒップとは言わないまでも、90年代後半よりは簡単になった。俺がデモテープをレーベルに送っていた頃には、歌入りの曲にしろって言われたものだった。

インストゥルメンタル音楽のマーケットなんて無い。ジョー・サトリアーニスティーブ・ヴァイだけができるんだ」って言われたよ。でも今ではそれはもうタブーではなくなった。

JS: それはインターネットによる民主化の素晴らしい結果だと思う。世界のどこにいようとも、変わったアーティストとそのオーディエンスが繋がることが可能となった。その結果、奇妙な音楽を公開しても、生涯を通じてファンになる百万人のオーディエンスを見つけられるかもしれない。

だからそのことに落胆しないことが重要だ。なぜなら、BTSやビリー・アイリッシュと競うことなんてできないのだから。それに彼らは彼ら同士での競争で忙しいからね。(笑)

でもそれだからと言って、素晴らしいキャリアが持てないという訳ではない。君が活動しているインターネットをメディアがカバーしなくても、究極のところ、自分の愛する音楽を自分の愛するファンへプレイすることで幸せな人生がおくれる。これは素晴らしいよ、ポップスターの重圧は壮絶だからね。

GG: その通り、自分の好きな音楽をプレイすること、それが幸せだ。今日は俺のYouTubeチャンネルに出てくれてありがとうございます。あなたと繋がれて光栄です。

JS: いつかG3ツアーで一緒に弾こうじゃないか!きっと最高になる。

GG: そんなことがもし現実に起こったら、俺にとっては その1)人生最大の夢の1つが実現する、その2)それは俺の人生で最も恐ろしいツアーになる、(笑)

JS: ハハ、皆そうさ!もちろんジョン・ペトルーシと並んでソロ回しをするのは恐ろしいよ、でも最高に楽しいのさ。そして皆が知らない事だけど、G3のショウを終えてステージを降りると私たちが最初にすることは「あれはどうやったのさ?凄くクールだった!」と言い合うのさ。そんなところがあのツアーの楽しいところなんだよ。ワクワクするんだ。

GG: ワオ!もし次のG3に呼ばれたら喜んで参加して、毎晩あなたにシバかれたいです。呼んでください。

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特に終盤のG3に話が及んだところでは、めちゃ嬉しそうなガスが見れて微笑ましいです。G3のスペシャルゲストでガスがステージに立つ日が来るのも遠くないかも?

 

Winger レブ・ビーチの代役でツアー継続!

遂にこの日が来てしまいました。4月29日のライブから Winger がレブ・ビーチの代役にジェイク・ファウンを立てて北米ツアーを継続しています。

Winger の設立メンバーであり、メインのソングライターにしてバンドの人気を牽引しているのはキップと共にレブであり、バンドサウンドにおいて欠くべからざる存在のレブを代役にして Winger のライブを続けられるのか?という命題は、これまでも少なからずバンド内で検討されてきたことでしょう。

今までは「NO」だったのでしょうが、2年に渡ったコロナ禍で十分なライブ活動ができない日々を過ごし、やっとライブショウが復活している音楽シーンの中で Whitesnake のツアー開始に伴うレブの不在を理由にバンドとして5~7月の活動をまるごと見送る訳にはいかないという判断だったのでしょうか。

これまでにも、Starship と掛け持ちで活動しているジョン・ロスの代役を立ててのライブを頻繁に行ってきた Winger ですが、レブの代役というのはちょっと次元が違ってくる話です。

この件について是非ともキップの見解を訊いてみたいのですが、最近はキップがインタビューを受けておらず、不思議なことにこのようなバンドの歴史上大きな変化についてメディアのカバーも無いようです。(なぜだ…)

staytogether.hateblo.jp

私は2020年2月にキップと立ち話の機会があったとき、「少し前にレブがアンディ・ティモンズなら俺の代役になると言っていたけれど、レブなしでのライブを考えているの?」と訊いてみました。

「それはあいつをからかう時に昔から言っていることだよ。そんなことインタビューで答えてたの?」

とキップは言っていましたが、同時に Whitesnake の予定にバンド活動の全てを合わせなくてはならないことにフラストレーションを感じているという趣旨のコメントもありました。

Winger は上手く Whitesnake と予定を合わせていると私は認識していたのですが、実際には随分と活動の制約になっていたのだな、とキップの反応を見て知ったのでした。

そのような背景があり、遂に今年はレブの代役でのツアーに踏み出したのだと思います。思うに、キップは最初、アンディにオファーを出したのではないかな?でもアンディに断られたのでギタリストを探したのでは。(アンディに是非とも確認したい)

さて、大きな役割を任されるジェイク・ファウンはどんな人か?UK出身で現在はロス在住のギタリストで、様々なギグをこなしているワークング・ミュージシャンのよう。2020年2月から行われていたデイヴ・リー・ロスの KISSサポート・ツアーではデイヴのギタリストを務めていました。

デイヴのバンドで弾くということは、EVH・VAI等、デイヴの過去ギタリストのパートを弾くことになるので、厳しいデイヴの眼に適った人物なのだろうと思います。

3月9日にはヴェガスでの KISS & デイヴのライブをヴァイ先生が観に行っており、ライブ後に楽屋を尋ねた先生はデイヴと歓談していたそうです。その時にジェイクはヴァイ先生とのツーショットを撮影し、インスタに投稿しています。

ヴァイ先生は「(デイヴの)ギタリストは全てを完璧に弾いていたよ」と後日ファンからの質問に答えていました。

 

さて、話を戻して最新の Winger ライブから

5月13日 HardRock Casino Biloxi MS 公演

 

この日はジョンも不在で代役がハウイー・サイモンとなっており、ギタリストが2人代役での Winger ライブです。(汗)こうなってくると何をもって Winger なのかという気がしますが、オリメン3人はいるのだから、今どきの大抵の80年代バンドよりもオリメン率は高いからいいのか。(苦笑)

"Headed For A Heartbreak" は彼らの代名詞的楽曲で一級品のギターソロがある曲です。そこでのジェイクのプレイは…見事な完コピ。音符をしっかり再現しているのはさすがプロ。でも仕方ないけれど、トーンが違う、迫力が違うなどとファンは思ってしまうのでした。

そしてもう1つ、レブ不在で大きな戦力が欠けてしまったのはコーラス。レブは特に高音のコーラスを担当していましたから、ジェイクではこれがどうにも補えない。"Seventeen" とか主要曲で多数あるのだが…

それにしても、動画でのキップは高音が本当にキツそうで泣けてくる。頑張れ、キップ!

 

ところで、今年には発売予定だったはず(去年だったか?)の Winger ニューアルバムの話がすっかり聞こえてこなくなりましたが、最近の情報がレブのインタビューでコメントされました。

「もう出来てるんだ。キップはいくつか俺のソロをやり直したがってる。俺のギターを(調整に)出したらフレットはステンレスを入れられたんだが、どういう訳か、特定の高音で妙な風合いが出ちまって、それをキップは直させたいんだ。

ジョン・ロスが書いた曲がある。俺はそれを覚えてレコーディングしなきゃならないが、あとはそれだけだ。他は全て終わっている。最高のアルバムになる。

俺たちの最後のアルバムになるかも知れないが、俺にはわからない。違うかもな。でも(アルバムが出来るには)何年もかかるってわかるだろう」

 

"It's done." と言うには少々作業が残ってる気がするけれども。何年か前には「俺たちはヤル気になれば10日でアルバムできる」って豪語してたよなぁ…(遠い目)