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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

アンディ・ティモンズ 「僕の演奏力を強化したい多数の分野があることに気付いた」

新年明けましておめでとうございます。
今年こそはパンデミックが収束して、せめて年後半からは少しずつライブミュージックが元に戻ることを期待します。皆が集って音楽を楽しめる日が来ますように!

当ブログは開設から10年を経過しました。これからも週1回ペースの更新で好みの音楽トピックを投稿し続けたいと思います。今年もどうぞよろしくお付き合いくださいませ。

2021年を迎えて新年の抱負を考えた方も多いかも知れません。
先日アンディ・ティモンズも新年の抱負を投稿していましたので、以下和訳を掲載します。

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実際にはただの新たな1日ではあるけれど、毎年僕らは人生や周りの世界を反芻するものだよね。僕らが成長するには何ができるのだろう?

他人を助けるためには何ができるだろう?

「新年の抱負」が不当な非難を受けがちなのは、大抵の場合、皆が新たな目標に固執し続けるなんてできないと思い込んでいるからだ。もちろん人生の重大な決断は特別の日まで持ち越す必要はない。

僕の人生の鍵となった決断を下した何度かの瞬間を覚えているよ、僕は決断して振り返ることはなかった。文字通り僕の人生を変換した時だ。

まあ、僕の新年の抱負は体重を減らすことにすべきかも知れないけど!(コロナ時代は僕に優しくはなくてね…まあこれは僕の言い訳だけど)ともかく、数週間前に決意したんだ、既に僕の生活に著しい変化が起こっている。

簡単に言えば、僕の普段の練習ルーティンをまるきり刷新することにしたんだ。僕は「練習者」としては全く優等ではなかったけれど、多くの演奏をすることでギターが自然と身に付いた。悪いことではなかったけれど、僕の演奏力を強化したい多数の分野があることに気付いたんだ。そして今こそ、その方面に進む最善の時だと思う。僕の発見と成長については皆に報告するつもりだ。

 

 

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ギタープレイにおいてあれほどの匠の頂に立ちながら、まだ上手くなろう、成長しようというアンディの姿には尊敬しかありません。アンディの凄さはそこにあるような気がします。歳を重ねながらどんどん上手く円熟の極みに向かっていること。同年代のギタリストでそういう人はレアではないでしょうか。

昨年からアンディが続けている週末のオンライン・ライブは新年も1月3日からスタートします。レア曲のプレイも聴けますし、毎週末にアンディに会える幸せがたまりません。

下の過去記事でもアンディがいい話をしていますので、ぜひ。

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スティーブ・ヴァイ 年末説法「過去に対する見解を改め、豊かな未来を掴む」

今年もヴァイ先生からの年末挨拶の手紙がファンに届きました。

昨年と比べると短めで、内容的には昨年の説法部分を別の言葉で表したものだと感じます。(昨年の説法は以下のリンクからどうぞ)
また、「100% #VAI説法」の Episode 7 - And We Are One の内容を終盤に含む説法でもありました。

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今年の年末もヴァイ先生の説法をじっくり読んで、恵みに感謝の気持ちを持ちたいものです。

原文がまだオフィシャルサイトに掲載されていませんので、原文リンクなしで和訳のみ以下掲載します。

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やあ皆、スティーブだ。

ホリデイシーズンを迎えたところで、この2020年に受けた恵みを思い起こして数えてみよう。反射的にこの2020年の最悪な事柄全てが浮かぶのだろう。私たちに課された試練、制限事項、妥協、隔離などなど。

しかしながら見方を変えれば、今年を通じて君の人生に別の何かが起こっていたのだ。過去に対する見解を改め、豊かな未来を掴むのに最良の方法は君の持つ恵みを数えることだ。実際に紙に書いて1つ1つに感謝しよう。これは時がこれば魔法のように効果があるのだ。君の人生全ての見解や君の存在意義、そして他者に対する見解、これら君に見えなかったものが姿を変える時に。 

とても多くの事、ちょっとしたささやかな事でさえ、恵みとして数えられるのだ。たった1つ見つけさえすれば、それに集中してみれば更に数えきれない程他の多くの恵みが見つかるだろう。恵みにだけ集中して考えよう、苦難が心に浮かんでもそのまま通過させよう。

ここで起きることは、それら苦難を異なる見方で受け止めるようになるのだ。それらの出来事がいかに必然として君の糧となったのかを認識するだろう。君の持つ恵みを数え上げない限り、これはわからないのだ。ひとたび理解すれば、明らかになるだろう。

君が書き上げた恵みにひとたび共感できれば、感謝の念で圧倒されるだろう。この感謝による振動は満たされた感情の振動に似ている。君が自分を取り巻く満たされた感情、君が実際に人生で得ている豊かな恩恵を受け止めるとき、君が目にし、関わりを持つ世界は変化するだろう。これには議論の余地は無い。もしそれが変化しなければ、君の現実に対する見方が変わっていないということだ。しかし、それがひとたび変化すれば、そのように君が感じるからだとわかるだろう。

今年愛する人が亡くなったというような大きな喪失があった場合、感謝の念や恵みを数えるといった行為による感情状態によって、その喪失を通じて神聖な光を目にするかも知れない。これが起こる1つの方法は、その人物が君の人生に現れたことへの感謝の気持ちに集中したときだ。練習が必要だが、喪失の痛みをそぎ落とし、何か別の物に変化させるのに役立つ。 

君が人生を通じて君の持つ恵みに感謝の念を持って生きるなら、更にそして大きな恵みを受け続けるだろう。君の創造的貢献の進化の過程で、君が仲間の人間全てがパートナーだと気付き、また彼らにとっても君がそうであると理解すれば、君の人生における歓びは圧倒的なものとなるだろう。

こうすることで、君は目を見張るような2021年に導かれるだろう。私はそれを願っている。

君に感謝しているよ。

S

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今年、ヴァイファン仲間の知人が亡くなりました。余りに突然でその若さを考えるとやりきれない思いですが、その人物と知り合えたことに感謝して、今年を静かに終えたいと思います。
ありがとう、そしてあなたが安らかな眠りについていることを祈って。

Green

2020年 当ブログ2大事件を振り返る

今年も当ブログをご訪問頂きましてありがとうございました。

当ブログは開設から今年で10年になりました。

なぜ週1回の投稿を10年も続けられたのか自分でも不思議ですが、好きなアーティストに対する好奇心と情報をシェアして楽しみたい気持ち、また時折頂く温かい声援のおかげだと思います。来年もどうぞよろしくお願いします。

 

今年は当ブログにとっての2大事件が起こりました。

その1:「100% #VAI説法」公開とヴァイ先生からのお言葉

ヴァイ先生のトークセッション Under It All 全7話 約13時間の説法に感銘を受けていたので、思い切って全話の日本語訳を公開しました。ギター奏法関連ではなく、難解な内容も含むスピリチュアルな説法でしたので、どれだけ関心を持つ人がいるのかもわかりません。その上、有料公開としたのでどれだけの人が実際に購入して読んでくれるのか自信もありませんでした。

しかし、公開から2週間余りで1回の寄付に十分な金額が集まりましたので、ヴァイ先生のCameoを通じて収益金の寄付と参加した日本のファンへのメッセージを依頼しました。(2回目の寄付ができればまたご報告の予定です)

そして届いたのがこのビデオです。ファンへのメッセージは常に心を込めてくださる先生ですが、このメッセージは特別に心を込めてくださったように感じます。感無量で涙しました。参加者の皆さま、ありがとうございます。

 

 

ヴァイ先生のメッセージ和訳と「100% #VAI説法」詳細は下の過去記事をどうぞ。

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その2:ブログがバズった!

今年のギター界を揺るがせた訃報はエディ・ヴァン・ヘイレンの悲しい知らせでした。多くのメディアがエディと交友のあった著名人に急遽取材を行っていたようです。その中からヴァイ先生に取材した記事を見つけたので和訳をブログ掲載しました。下の過去記事です。

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その記事がバズったのです。通常の当ブログへのアクセス数は1日あたり3桁前半なのですが、該当記事公開の翌日には4桁!と思っていたらまさかの5桁アクセスが数日続きました。

驚いてアクセス元を調べてもはっきりとはわからなかったのですが、どうやら Google ニュースのおすすめに掲載されたようでした。個人のブログが取り上げられることに驚くとともに、 Google の力って凄いなと感心しました。見つけて画面キャプチャしておいたら記念になったのになぁ…(笑)

現在のブログは通常運転に戻っていますが、今後とも自然体でアクセスが増えるよう精進していきたいと思います。来年もどうぞよろしく。

コロナ禍に差した光明 特選 Quarantine music video

コロナ禍で厳しい状況に置かれた音楽業界ですが、音楽ファンとしてはアーティストのクリエイティビティを見せてもらえたのが Quarantine music video かなと今年を振り返って思います。

物理的に人が集うことが難しい状況で人類に残された感染リスクフリーの空間がサイバー空間でした。そこで、自宅での演奏動画を編集して創られた音楽ビデオが数多く公開されました。逆境の中で生まれたアートというか、環境に適応して生き残るたくましい創造性に元気付けられました。

これは海外の大都市がロックダウンとなった今年3月頃から徐々に始まったように記憶しています。ブライアン・メイQueen の名曲数々の演奏動画を投稿しているビデオに他のミュージシャンが自分の演奏パートを加えてビデオを公開し始めた頃がこのムーブメントの初期ではないでしょうか。

今週は今年を振り返りつつ、個人的お気に入りの Quarantine music video を紹介します。

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オールスター編

"Bohemian Rhapsody" by Generation Axe with Brian May

昨年の Generation Axe 来日公演でも目玉として演奏された5人のギター神による Queen 名曲のギター・インストゥルメンタル・アレンジが、ヌーノの企画で Quarantine music video に制作され、AXSの特別チャリティ番組でオンエアされました。

何が凄いかといえば、ブライアン・メイご本人がこのビデオに参加しているところ。こんな豪華なビデオはないでしょう!それに誰がどのパートを弾いているのかもビデオで分かりやすくなっているのが嬉しい。

ビデオの編集はヌーノがしたそうなのですが、テレビ放送時のバージョンは編集の時間切れで納得いっていなかったようで(実際にトシン・アバシを写したカットが殆どなかった)、こちらのヌーノによる Instagram 投稿バージョンが完全版といえます。

 
"Better Days Comin'" by Winger and friends

Winger が多数のお仲間ミュージシャンとファンの参加で再レコーディングした "Better Days Comin'" は多彩で豪華なゲストの顔ぶれで話題になりました。

アリス・クーパーやクラウス・マイネらビッグネームに加えて、仲間のミュージシャン:JSS、リッチー・コッツェン、トニー・ハーネル、マイケル・スターら多数。

ポジティブな歌詞もあって、今こそ必要なビデオでした。

 

 

インストギター新曲編

"Candle Power" by Steve Vai

自宅スタジオから出られない状況の中、多くのギタリストが新曲を発表しました。ヴァイ先生もその1人。60歳の誕生日に公開された新曲ビデオはファンを驚かせ、尊敬を集めるものでした。詳細は過去記事でどうぞ。

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"Planetary Lockdown" by Bumblefoot

ロンさんがインストギターの新曲を公開し、曲の一部を演奏するビデオで世界のギタリストをジャムに誘ったところ、ギタリストだけでなく、様々な楽器のプレイヤーも参加しました。ミュージシャンの創造性がポジティブに拡大していく様は見ていて楽しかった。

こちらのビデオは才能に溢れる若手シンガー、ディノ・イェルシッチがこの曲にメロディと歌詞を付けて制作したもの。出来が素晴らしく、参加ミュージシャンも実力派揃いで、ロンさん本人もこのビデオ用に演奏ビデオを提供しています。

 

 

カバー曲編

"Stormbringer" by Joel Hoekstra

名曲のカバーの中でこちらは斬新なプログレッシブ・アレンジが秀逸でした。ミュージシャンシップ溢れるこのビデオは大のお気に入り。詳細は過去記事でどうぞ。

ディノ・イェルシッチがここでも歌っています。彼は何本もの Quarantine music video を公開しているので、彼のYouTubeチャンネルもお勧めです。

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"Nowhere Man" by Voices Of Apollo

Sons Of Apollo のボーカル&コーラス担当3人、ジェフ・スコット・ソートとロン・"バンブルフット"・サールとマイク・ポートノイが Voices Of Apollo の名前で公開したビデオはボーカルハーモニーが美しいです。

 

2020年のライブを振り返る

世界中がパンデミックに翻弄された2020年でした。3月からライブの無い世界になってしまう中、2月初旬にMORCに参加して無事に帰れたことは幸いでした。来年も後半まではライブの無い世界が続きそうです。どうか人々が安心して集える環境が戻りますように。国境を安心して行き来できる日が戻りますように。

2020年に実際に参加できたライブはほんの一握りほどでした。2月は Sons of Apollo のライブとMORCに行ったのみですが、今年は他にライブがないので、前座やイベントで観たライブも全部挙げてみました。

 

2020年 参加ライブ

1月 Queen + Adam Lambert
2月 Ethan Weissman's Mass Extinction Event
   Tony MacAlpine
   Sons of Apollo
   MORC
   ・Richie Kotzen
   ・Winger
   ・KIX
   ・Tokyo Motor Fist
   ・Lynch Mob
   ・Joel Hoekstra
   ・Y&T
   ・Stryper
   ・Buring Rain
   ・Tesla
   ・Atmic Punks
   ・Jason Bieler
   ・Steelheart
   ・Extreme
   ・H.E.A.T.
   ・Vixen
   ・Mac Sabbath
   ・Thunder
   ・Kings X
   ・British Lion

 

2020年 ベストライブ

No.3 Queen + Adam Lambert

1月に来てくれて本当に良かった!ドームでのゴージャスなステージセットで観るレジェンドバンドのライブはオーディエンスの一体感がその場の熱量と感動を押し上げていました。サウンドバランスが今一歩だったことが心残りですが、数万人でハンドクラップする "Radio Ga Ga" を体験できてもう感激です。

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No.2 Sons of Apollo

NYで観た彼らのライブは2ndアルバムリリース後の北米ツアー終盤でした。バンドメンバーの半数にとってのホームタウンギグでもあり、そんな街でニューアルバムの曲を聴けたのは良かった。何よりもバンドの前身である PSMS のトニー・マカパインを迎えてのアンコールで "Burn" を聴けたのは最高でした!

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No.1 Winger

青い空、夏の日差し、心地よい海風を浴びての野外ステージのライブは最高!それを大好きなバンドで体験でき、しかも大好きなアルバム『Winger IV』から超レア曲をセトリに加えてくれたのだからたまりません。今年一番の思い出に残るライブでした。

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ベスト3には入りませんでしたが、今年のMORCで初めて観て印象に残ったライブは Kings X、Steelheart、H.E.A.T.など。こういう出会いもライブの楽しみ。

コロナ禍の今年は新しいライブ鑑賞スタイル、ストリーミング・ライブが普及した年でもあります。生身のライブ体験には遠いものの、地理的な条件に関係なく、アーティストのライブをPC越しに鑑賞できたのは嬉しい体験でした。

来年はライブに行けるような状態になるのかわかりませんが、1日でも早く安心して人々が集い音楽を楽しめるようになりますように。

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アンディ・ティモンズ 「どうしたらメロディが書けるのか?答えは単純さ、もっとメロディを学ぶんだ」

アンディ・ティモンズがオンラインイベントに参加しました。イタリアの音楽チャンネルのイベントで特別ゲストの参加を挟みながら、インタビューとライブパフォーマンスは2時間半にも及びました。その中から興味深かった一部分をまとめてみました。

アンディの作曲を支えている無意識の習慣についてのお話が興味深かったです。

 

 

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メロディやハーモニーなどあなたの曲はどう作曲しているのですか?

一度に浮かんでくるんだ。最近ではエディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったときに彼の家族を想って曲を書いたのだけど、僕はギターを手にして心のままにつま弾いていた、そしてメロディが浮かんだんだ。最近は多くの場合ハーモニーで頭の中に聴こえてくるんだ。

アルバム『Resolution』で新たなアプローチを始めたとき、こんな(ギタープレイしてみせる)コード・メロディの形で結実したんだ。時にはバンドとジャムしているときに閃くこともあるし、ドラム・ループを掛けて練習しているときに閃くこともある。リフだったり、探求するに足るアイデアだったり。そのときにはできるだけ記録するようにしている。今は皆がボイスメモに100個ものリフを録音していたりするよね。僕は16歳のころから山ほどのカセットテープに録ってきたよ。一聴して特徴があり、そこに何か魅力のあるもの、そんなアイデアを発展させている。メロディが先に浮かぶこともある。

1日中メロディが頭の中にあるんだ。僕が人生を通じてその重要性や価値に気付かずにしていることなのだけど、音楽を聴いているときでもそうでないときでも、グルーヴが浮かんで、頭の中だけ、もしくは身体を動かしていたりするんだ。それと同時にメロディも浮かぶ。これらは全くの無意識下で起こっていて、どれだけ役に立っているのか考えることもなかった。妻と行く服飾店の音楽がお気に入りなんだけど(笑)ムーディなキーボードとコード進行で、それがメロディを創る絵具なんだ。良く知られている曲でも僕はカウンターメロディを歌ったりハミングしていたりする。

こうして僕はずっとメロディを即興していたり、曲のタイムに合わせているんだ。楽器が手元になくても、自分の頭の中のグルーヴやメロディの記憶庫に入るんだ。そこにはこれまでに聴いてきた音楽が蓄積されている。そうすると、自分の音楽を書いたり楽器を演奏するときがきたら、自分の音楽脳は強化されているので、見つけたいアイデアやフィールを引き出せる、後はそれらを楽器に当てはめていくんだ。これは誰に言われた訳でもなくて自然とやらずにはいられなかったことなんだ。本能的な無意識の行動だった。

すなわち作曲というのはあなた自身の全てを表現するものでもあるのですね。

そうだね。別のギターレクチャーの機会にメロディや曲のインスピレーションについて話したのだけれど、僕が思うに、僕たちが聴いたり、プレイした音楽は記憶に刻まれていくものだ。即興でソロを弾くときや作曲のときには過去の感動した記憶に従っているのさ。記憶の曲を複製したり、一部を頂くのではなくて。時としてそうなってしまうこともあるし、正直な人は意図的だったと言うけどね。(笑)

例えばジョージ・ハリソンが The Chiffons の "He's So Fine" をパクってしまい、メロディが酷似していた。彼の頭の奥にあの曲があったのだろうけれど、彼は意識になかったんだ。(訳者注:63年の The Chiffons のヒット曲 "He's So Fine" に対して70年のジョージの "My Sweet Lord" が酷似しているとして著作権侵害で訴えられ76年にジョージが敗訴した)

音楽というのは同じような頭の中からくるものだから、僕にとっては導かれるようなものなんだ。これまでに聴いた音楽やコードや多くのものから同様の質のものを引き出そうとする。だから、よくどうしたらメロディが書けるのかって聞かれるけれど、答えは単純さ、もっとメロディを学ぶんだよ。1日中速弾きの練習をするのではなくて。それは自分の持つ絵具の1つで、僕もそういうエネルギーがプレイヤーから伝わってくるのは好きだよ、でもメロディも聴きたいだろう。印象に残って何か君の心を動かすものだ。そういういくつもの絵具が集まったもの、それが聴いて楽しいものだ。

曲だけでなくあなたの即興のソロでも多くが感じられます。常に新たな試みをしていますね。

色々なものを吸収することだよ。僕はこの数週間、エルビス・コステロトム・ペティブルース・スプリングスティーンの新譜などを聴いていた。素晴らしい歌詞とシンプルな曲がとてもパワフルで大好きさ。トム・ペティの作曲はとても深い、彼は最小で多くを語るんだ、曲にも歌詞にも余分なものは無い。僕の音楽もそうでありたいね。もちろん他のギタープレイヤーもチェックしているよ、インスタグラムを見ながら何だこれ!って驚愕しているんだ。腕の立つプレイヤーが沢山いる。互いに刺激しあって高めあうんだ。

今練習していることは何ですか?

毎朝コーヒーを味わってから、僕のルーティンではバッキングトラックを掛けながらジャズをインプロバイズするよ。あと曲を学ぶのも好きで、最近やったのはエルビス・コステロとパート・バカラックのコラボレーションで、キャロル・キングの人生を反映した映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のサウンドトラックだ。その中の曲がゴージャスでね、"God Give Me Strength" は素晴らしいメロディだよ。こういうシンプルな曲を学ぶことで僕の中のライブラリーにまた違う音楽が刻まれるんだ。常に音楽を聴いて、メロディや歌詞の美しさを見つけている。

テクニックの面では何かありますか?

エディが亡くなったときにはタッピングだったり、別の時にはハイブリッドピッキングだったり。僕はそれをあまり練習してこなかったけれど、今の若いプレイヤーはとても高いレベルで使っているよね。練習したいテクニックをリストにしたりするけど、僕は昔からあまり練習に長けていなかった。先生がいればモードとかいろいろ練習してそれは良かったのだけど、練習はただプレイしたり作曲する時間になりがちだった。スティーブ・ヴァイのように1日10時間練習メニューみたいな厳しい鍛錬ができたら良かったのだけど。

いつも言っているのだけど、皆それぞれ自分に合う練習法を見つけることだ。厳しくて気分がのらなければインスパイアされないし、逆に楽しければどのような練習でも楽器に集中でき、ヤル気につながるだろう。僕は様々な曲をプレイすることで成長し、楽器との繋がりも強化できたよ。時間をとって根気強く続けることだ。

(アンディが語ったギター練習についてはこちらでも読めます)

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ティーブ・ルカサーとラリー・カールトンのショウがあったときに、ラリーのペダルに質問が集まったことがありました。ラリーが彼のセッティングで何人かに弾かせてくれたのですが、誰も同じトーンを出せませんでした。ラリーは冗談で(君たちのトーンを)リモコンで操作したのだと言っていたエピソードがあります。(笑)

ラリーとスティーブのショウはダラスであったときに観に行ったよ。スティーブの演奏はもちろん素晴らしかったのだけど、その夜のラリーのペダルはボリュームペダルだけだったのさ!彼の Gibson ES-335 とボリュームペダル、それだけなんだ。その夜は彼らをタコスを食べに連れ出したよ、最高の夜だった。彼らと同じ部屋にいるだなんて圧倒されたよ、僕の最大のヒーローの2人だからね。

ティーブは全般的に僕に影響を与えたプレイヤーだけど、ラリーにも多くの影響を受けた。彼のファースト・ソロアルバムはトーンも素晴らしかったけれど、1音1音の扱いが完璧にコントロールされていてエレガントだ。ベンドもプリベンドもコントロールされている。彼のアルバムを聴き直したら、僕が無意識に捉えて自分のものにしたところがわかると思う。何度も繰り返し聴いたので、自分の一部になったんだ。

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来月にはスティーブ・ルカサーをこの番組のゲストに迎えようと今調整しているんですよ。

素晴らしいね、僕をその回のスペシャル・ゲストに呼んで欲しいな!

もちろんですよ。シークレット・ゲストとしてお呼びします。
ところで、コロナ禍で音楽産業は変化を余儀なくされましたが、これは新たな時代の始まりなのでしょうか?

そうだね。僕が StageIt で毎週オンラインライブを始めたのは必要からだった。ツアーができなくなってしまったから。これを使ってライブをしていた友人に教えてもらって僕も始めたんだ。これなら家のスタジオから配信して幾らかの収入を得られる。もちろんバンドと一緒にプレイしてオーディエンスがいる方がいいけれど、生活を変えなくてはならない中で、このテクノロジーがあって感謝しているよ。

パンデミックで出かけられなくても人々はオンラインで集い、子供はオンラインゲームで友達と集まったりしている。こうしてミュージシャンがアートをオンラインで提供できる形式というのは良いことで、僕たちが以前の生活に戻れたとしてもこれまでの形式に加わる形で続くのだと思う。

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レブ・ビーチ 「デヴィッドは決して立ち止まることなく常に前進する」

レブ・ビーチが長年制作していたインストゥルメンタル・ギターアルバムを遂に完成させました。11月6日にリリーされた『A View From The Inside』はロック/フュージョンのクールなギターアルバムで、さすがのクオリティでした。

 

一昨年のG3でジョー・サトリアーニとレブが話したときに「インストアルバムが完成したら直ぐ送ってくれ」と言われて今回実行できたようなので、(サポートを含め)G3に参加するというレブの長年の夢(過去記事参照下)が叶う日が来るといいですね。前回のG3はフィル・コリン参加でギターファンを驚かせましたから、もしかしてもしかしたら夢では終わらないかも知れません。

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アルバムのプロモーションに伴って行われた多数のインタビューの中から1つをピックアップして、日本の雑誌でも読めるお話を割愛して、個人的に面白いと思ったコメントをまとめてみました。

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シグネチャー・ギターモデルについて

Winger が下り坂になった頃、Ibanez にもう俺のシグネチャー・モデルの Voyager を作れないって言われたんだ。それでジョン・サーのところに行ったんだよ。Suhr は素晴らしいギターだけどとても高価だ。実際、俺のモデルからの収入なんてないんだ。Ibanez の方が断然金にはなっただろう。

俺の夢なんだけど、いつか Voyager を再リリースしたいんだ。あれはクールな形だし、デザインを思い付いたのは俺だからとても誇りに思っている。雑誌 Penthouse にも載ったんだぜ!あれはLAに向かう飛行機の中でナプキンにデザインを描いたんだ、Ibanez のデザイナーと一緒に。

エディ・ヴァン・ヘイレンについて

エディがいなければ俺は Guitar World誌の表紙を飾ることも Winger が成功することもなかっただろう。 Van Halen が高いミュージシャンシップをシーンにもたらした。俺はタッピングでシュレッダーに分類されているけれど、自分のやり方でやったことが良かったと思う。エディがどうやっているのかはレコードの写真でしか見れず、右手を使うのか!!と自分でやってみるしかなかった。タッピングがなかったら俺は速弾きにはならなかっただろう。

イングヴェイが登場したとき、皆がプレイを真似して皆がイングヴェイみたいに聴こえたけど、皆がエディの真似をしても誰もエディのサウンドにはならなかった。誰もエディを再現することはできないんだ。

デヴィッド・カヴァデールの様子

元気そうだよ、毎日ジョークを言ってる。歳と共に力が衰えるボーカリストは多いけど、彼は常に100%でライブに臨むんだ。翌日もショウか休みかに関係なく。彼は決して立ち止まることなく常に前進する、だからこの先もずっとそうだと思う。

Whitesnake の初期の楽曲について、またプレイするのが好きな曲

(初期の曲は)ほとんど知らない。ライブでやるものだけ覚える。
好きなのは断然 "Still Of The Night"。あのリフは最高で、デヴィッドが揃える真のプロミュージシャン(歴代のWSバンド)と演奏するのはたまらないんだ。ミドルセクションのブレイクの後、鍵盤とギター2本でオーケストラのような重層のサウンドを創る。あと、"Slow And Easy" だ。あのブレークの後のフレーズ!アリーナ全体がリバーブに包まれるようだ。あのサウンドは俺の大好きな『KISS ALIVE!』的でさ。それに"Judgement Day" は壮大でクール、アリーナで栄える曲だ。

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インイヤーモニター

Whitesnake のいいところは、最高のインイヤーモニター・エンジニアを雇えることだ。俺はピーター・フランプトンのライブアルバムのようにミックスするよう頼んでいる、最高だよ。インイヤーモニターは重要だ。後ろのスピーカーやフロントのモニターを聴いてギターのいいフィードバックを活かすってこともできるが、Winger がやるクラブギグ等、9割方ではサウンドガイが未熟で毎晩サウンドが違うんだ。インイヤーモニターのいいところは毎晩同じサウンドが得られること。

Whitesnake のセットリスト

セットリストはデヴィッドがプレイしたい曲のリストをくれて、どう思うか訊かれるんだ。バラードを2曲続けない方が良いとか、3曲は全部キーが同じだけど、といったことを俺が助言する。そういうことは彼は考えないからね。

俺のソロアルバムでも10通りのトラックリストを考えたんだ。その多くでは2曲が同じキーになっていた。流れを考えないとな、セットリストでも同じだよ。でも、今のアルバムではレコード会社に「誰も最後まで聴かないから、ベストの曲を頭に入れろ」と言われる。

自分がどんなプレイヤーかを表すプレイ

アームとタッピングプレイ。曲なら、一般的ラジオリスナーには "Headed For A Heartbreak"。この曲にはレガートとタッピングがあって、典型的な速弾きプレイではないから。ギターファンには "Black Magic"。俺が弾いたベストソロは "Witness" だと思う。

Winger ニューアルバムについて

キップが全曲に高い水準を求めているから時間がかかっている。クールなギターパートとキャッチーなメロディが要るんで、11曲書いたけれど残したのは5曲だ。最近はレーベルによるスーパーグループってのが多くて、その多くはスタジオに入ってよしこれだ!って感じで次々書き上げてるけど、(曲に)高い水準を設定してないんだよ、残念なことに。

ジョエル・ホークストラとの違い

俺たちは全く違うプレイヤーだ。彼は譜面が完璧に読めるし、スケールも全部知ってる。俺は基本がわかるってだけだ。俺は(ライブで)一晩中同じエコーを掛けているんだけど、信じられないって言われる。320msのディレイだ。一方、彼は曲毎にディレイをプログラムしている、完璧主義なんだよ。俺なんて彼と比べたら原始人かもな。俺のディレイ設定だとアリーナでプレイしているような感じがして好きなんだ。ギターがドライで大胆に聞こえる。サウンドに空間が加わるんだ。グランド・キャニオンでプレイしているみたいに。

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レブのインイヤーモニターの話は下の過去記事でも話していました。それを読み返したら、当時ビリー・シーンに "Black Magic" をニューアルバム用に弾いてもらったとあるのですが、アルバムではスティーブ・ヴァイのツアーベーシスト、フィリップ・バイノーでした。何があったのだろう…?

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 Winger のニューアルバムは当初2021年初めの予定から5~6月に目標がズレてきていますので、いつも通りのスケジュール感だと21年秋冬くらいでしょうか?(汗)まさに今、キップのスタジオで2人が制作している様子です。↓